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取引適正化の状況(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第1部 令和2年度(2020 年度)の中小企業の動向」の続きです。
今回は、取引適正化の状況について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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3.取引適正化の状況
①価格転嫁の状況
まず、受注側事業者における直近1年のコストの動向を確認する。

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第 1-1-84 図を見ると、原材料・仕入価格、人件費共に、「低下」と回答した企業は少なく、全般的にコストは横ばいから上昇傾向にあることが分かる。

第 1-1-85 図は、コスト全般の変動に対する価格転嫁の状況である。

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これを見ると、「概ね転嫁できた」と回答した企業は、いずれの業種においても2割以下である。また、3割以上の企業が「転嫁できなかった」と回答しており、依然として価格転嫁は企業間取引における課題となっている。

第 1-1-86 図は、価格転嫁の状況と販売先に対する価格転嫁の協議の申入れ状況との関係を見たものである。

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これを見ると、「概ね転嫁できた」、「一部転嫁できた」と回答した企業の大部分が、協議を申し入れた上で協議を行っている。一方で、「転嫁できなかった」と回答した企業の半数程度は、そもそも販売先に協議を申し入れることができていない。

第 1-1-87 図は、販売先との取引価格や単価の交渉機会の有無別に、協議の申入れ状況を見たものである。

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これを見ると、交渉機会が「設けられていない」企業は、「設けられている」企業と比較して、「販売先に協議を申し入れることができなかった」、「販売先に協議を申し入れたが、協議を行うことができなかった」と回答する割合が高い。コストの上昇を価格に転嫁するために必要な協議を行う上で、まずは取引価格や単価の交渉機会を設けることが重要であると考えられる。

第 1-1-88 図は、価格転嫁ができなかった企業に対して、販売先からその理由についての十分な説明の有無を聞いたものである。

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これを見ると、「十分納得できる理由の説明があった」と回答した企業は 7.6%にとどまり、そもそも「説明はなかった」と回答した企業が4割以上存在する。発注側事業者には受注側事業者の申出に対して真摯に対応することが期待される。

②代金支払の状況
第 1-1-89 図は、製品の納品や役務の提供後の代金の支払期日(注)を確認したものである。
(注)ここでは、受注側事業者の代金の受取期日のことを指している。

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これを見ると、「製造業」では代金の支払期日が「2か月超」と回答した企業が3割以上存在している。また、いずれの業種においても、「1か月以内」と回答した企業の割合は2割から3割程度にとどまっている。

第 1-1-90 図は、代金の支払期日の決定方法を見たものである。

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これを見ると、支払期日を「自社が決定」と回答した企業は僅かだが、「販売先が一方的に決定」と回答した企業は3割以上存在している。

第 1-1-91 図は、代金の支払期日の決定方法別に見た、支払期日の状況である。

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これを見ると、支払期日を「販売先が一方的に決定」とした企業において、支払期日が「2か月超」となっている企業の割合が高い傾向がある。

第 1-1-92 図は、受取代金の手形割合を確認したものである。

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これを見ると、「サービス業」は代金を「すべて現金」で受け取っている企業の割合が相対的に高く、手形割合が 10%以上の企業は少数である。一方で、「製造業」では「すべて現金」で受け取っている企業は3割程度にとどまり、手形割合が 10%以上の企業が半数程度となっている。

第 1-1-93 図は、現金・手形等の支払手段の決定方法を見たものである。

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これを見ると、支払手段を「自社が決定」と回答した企業は1割程度だが、「販売先が一方的に決定」と回答した企業は3割以上存在している。

第 1-1-94 図は、現金・手形等の支払手段の決定方法別に見た、受取代金の手形割合である。

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これを見ると、支払手段を「販売先が一方的に決定」と回答した企業において、受取代金の手形割合が高い傾向がある。当然ながら、業種や業態の特殊性を考慮する必要があるものの、双方が納得する形で支払期日や支払手段を決定していくことが重要である。

第 1-1-95 図は、代金の一部を手形で受け取っている企業に対して、その支払サイトを確認したものである。

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これを見ると、いずれの業種においても、受取手形の支払サイトが 60 日以内の企業は1割から2割程度にとどまっている。また、支払サイトが 120 日超となる企業が1割程度存在している。

第 1-1-96 図は、代金の一部を手形で受け取っている企業に対して、手形割引料相当額を勘案した取引価格が設定されているかを確認したものである。

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これを見ると、いずれの業種でも「勘案されていない」と回答する企業が大部分を占めており、手形取引における課題となっている。

第 1-1-97 図は、代金の支払条件の改善時期と受取手形の支払サイトの短縮時期について見たものである。

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これを見ると、支払条件の見直し、支払サイトの短縮について、少しずつ進展している状況が見て取れる。他方で、支払条件が「改善されていない」、支払サイトが「短縮されていない」と回答する企業の割合は依然として高く、更なる改善に向けて継続的に取り組む必要がある。
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2020年版の中小企業白書でも同様の記事がありましたが、取引条件の適正化に関する調査データです。
原材料や人件費の上昇をきちんと転嫁できているか。
そもそも、取引条件を協議する場があるか。
支払い手段は手形か現金か、そのサイトはどうか。

販売先との力関係や自社の技術等の優位性により一律では判断できませんが、長続きする関係を作るためには、WinーWinの関係であることが必要です。
また、経済成長のためには、緩やかなインフレ状態であることが望ましいと私も思うのですが、これは仕入価格がきちんと転嫁できて初めて成り立つとも言えますね。

★エンターテイニングスパイラル図

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