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スマート農業の実証事業を推進しデータに基づく地域産業の振興を目指す地方自治体(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第2章 事業継続力と競争力を高めるデジタル化」の続きです。
「第4節 中小企業におけるデジタル化に向けた組織改革」より、今回は「スマート農業の実証事業を推進しデータに基づく地域産業の振興を目指す地方自治体」の事例について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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スマート農業の実証事業を推進しデータに基づく地域産業の振興を目指す地方自治体
所在地:石川県加賀市
加賀市

「スマートシティ加賀」が取り組む農業の実証事業
加賀市は2016年に第1回「地方版IoT推進ラボ」に選定されて以降、第4次産業革命を見据え、IoT人材の育成と最先端技術の導入による市内企業の生産性向上や技術開発力の強化を柱に、官民連携によるイノベーション施策に取り組んでいる。2019年には全国の自治体では初めてブロックチェーン技術を活用し、住民のそれぞれのニーズに応じた情報を提供するポータルサイト
「加賀POTAL」を開設するなど行政サービスのデジタル化も推進。2020年からは、「人間中心の未来社会の実現」を基本理念にスマートシティ加賀構想を掲げている。そんな加賀市では、2016年より農業分野における実証事業にも取り組む。農業の現場では、熟練者の技術や経験、肌感覚に頼る部分も多い。市では、農業の担い手不足により就農人口が減少し、熟練した技術の伝承が途絶え、作物の品質低下や、安定供給に支障を来すおそれが懸念されていた。

栽培が難しい高級ぶどう「ルビーロマン」の商品化率が大幅向上
加賀市では、これらの課題に対応するため、農家の技術を「見える化」する実証事業に取り組んだ。まず対象としたのが、石川県の名産である高級ぶどう「ルビーロマン」であった。ルビーロマンは品質維持のため、粒径が31mm以上、糖度18度以上、粒の色や房の形など厳しい出荷基準がある。また、2016年時点では明確な栽培方法が確立されておらず、商品化率は県平均が50%ほど、加賀市の平均は40%ほどであった。そこで市では、実証事業において生産者の商品化率を80%まで引き上げることを目標とした。ほ場の要所にセンサーを搭載した子機を設置し、気温、湿度、土壌中の水分量などを測定し、ほ場に行かなくてもスマートフォンで現在のデータが確認できるシステムを構築した。

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急激な温度変化などのトラブルが起きるとアラートが鳴り即座に対応できるようにした。シーズン終了後は、環境データと作業データをマッチングし、県の指導員、生産者、JAとで栽培管理の仮説を構築・検証し、翌年度の栽培方針を決定するなど、情報の共有を図った。4シーズン目の2019年には実証事業に参加した3軒がいずれも県平均43%を大幅に上回る商品化率を達成。2020年には74%の商品化率と県平均を大幅に上回る生産者も現れた。

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様々な地域特産物への横展開も視野に、更なる地域農業の振興を目指す
有限会社丸山ぶどう園はルビーロマンの実証事業に参加した1軒である。「経験や勘に頼らず絶対値で管理できるのが魅力だった。栽培のコツを産地でシェアして、地域農業の振興につなげられればという思いもあった。」と同園取締役の丸山充雄氏は振り返る。

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同園ではビニールハウスの覆いの開閉による温度管理が正確に行えるようになり、作業効率は向上。同園の収穫したルビーロマンは、初競りで1房当たり2019年に120万円、2020年には130万円と2年連続で最高値を付けた。加賀市ではルビーロマンから1年遅れで梨とイチゴでもスマート農業の実証事業が行われており、今後は、センサーによる栽培管理を実装しデータ蓄積を継続することにより、新規就農者でも早期に栽培技術を身に付けられる可能性も高まる。また、稲作などの他の作物でもスマート農業の横展開を見据えており、「稼げる実績やワークライフバランスを保てることを示して、少しでもなり手を増やしたい。スマート農業は、農業のイメージを変えるイノベーションになる。」と加賀市農林水産課・山岸由紀夫課長は語る。
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「ルビーロマン」は石川県農業総合研究センターが足掛け14年の歳月をかけて開発した、赤い大粒のブドウ品種です。
石川県の戦略作物と認定され、ブランド化されている品種です。
それにしても一房130万円とはすごいですね。
ITを活用したスマート農業で、この栽培方法を確立し、既存の農業者の収入増や新規就農者の増加につなげようという取り組みです。

今までIT技術があまり使われていない分野だからこそ、取り組む価値があると言えそうです。

自治体主導のDX、今後も広がる可能性がありますね。

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