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食料安全保障の確立(令和元年度食料・農業・農村白書より)

本日は、農林水産省のまとめている、「食料・農業・農村白書」から「食料安全保障の確立」について紹介します。

以下、特記した場合以外、引用は「令和元年度食料・農業・農林白書」から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

「食料安全保障」という言葉は、規制緩和すべきか、農林水産業を保護すべきか等の議論の中でよくマスコミにも登場する言葉ですが、世界人口の増加や、今回の新型コロナウイルスのパンデミック、民族紛争など、様々な要因で輸入がストップすることも想定しておかねばなりません。
農林水産省では、定期的にこれを分析・評価しているそうです。

今回の白書では、諸外国と比較した日本の安全保障政策について点検を行っています。

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字が小さいので、各パートを拡大して再掲します。

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有事の際に、日本国内の農産物で食料をある程度確保するためには、日本の農業生産自体を拡大させる必要があります。そのために、保護政策だけではなく規模の拡大やIT化などを通して生産性を高め、輸出ができるような競争力の高い農業にしていくべきだと思います。現在の高齢化した農業従事者だのみの、小規模なコストの高い生産体制のままでは食料安全保障の面からもかなりリスクが高いですね。

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食料安全保障のためには、外交も重要になります。後で食料をどこの国から輸入しているかのグラフを掲載しますが、6.6兆円の輸入額のうちの21.6%がアメリカ、10.9%が中国からの輸入ですので、両国とは良い関係を保っておくほか、それ以外の国からの輸入の可能性を探って、リスク分散をしておく必要がありそうです。
その辺がTPPの必要性にも絡んでくるのでしょう。

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食料安全保障のための「備蓄」などの対策です。
日本は島国ですので、ある程度の備蓄はしておく必要があります。人間の新型コロナウイルスのようなものが家畜で広まることもありえますので、それらの水際対策もきちんとしておかねばなりません。
食品産業事業者のBCPも実は食料安全保障にも関係するんですね。

日本の農水産物の輸入の状況です。

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輸入額自体は上昇傾向ですが、これは近年の円安傾向によるもので、それを加味すると実質の輸入額は減少傾向にあるそうです。
人口減、高齢化により、必要とされる食料が減少していることが要因です。

日本の主要農産物の国別輸入額の割合を示したものです。

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飼料に使われる「とうもろこし」は日本国内の畜産業にも不可欠ですね。

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各国と良い関係を維持しなければならないことがよくわかります。
品目別のグラフでは「中国」が見当たりませんが、立地的に近いこともあり、生鮮野菜が近年増えているようです。

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(桃山学院大学経済学部教授 大島一二「中国の対日農産物輸出の増大と食品安全問題」より引用)

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中国がレアメタルの輸出をストップして大騒ぎになったのは記憶に新しいですが、食料が紛争解決の手段となったら、と考えると恐ろしいです。
このために貿易ルールを定めることが重要です。完全に自由化して、自国の農業が壊滅すると「食料安全保障」が守れませんので、自由化と保護主義のバランスを国際的にとっていかねばなりません。

我々の世代もさまざまな貿易協定にももっと興味を持って深く考え、次の世代に安全な日本を引き継いでいかねばなりませんね。



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