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将来を構想するための思考補助ツール「経営デザインシート」(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第1章中小企業の財務基盤と感染症の影響を踏まえた経営戦略」の続きです。
第3節「危機を乗り越えていくために必要な中小企業の取組」より、今回は「将来を構想するための思考補助ツール「経営デザインシート」」について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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【コラム 2-1-5 将来を構想するための思考補助ツール「経営デザインシート」】
本コラムでは、経営戦略の策定に資する「経営デザインシート」について紹介する。
「経営デザインシート」は、企業等が、自社の将来を構想するための思考補助ツールである。また、社外との関係では、共通言語に基づく対話ツールになるもので、2018年5月の知的財産戦略本部での公表後、企業や地域金融機関・公的機関などの中小企業支援機関等で利用されている。

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◆将来を構想するための「経営デザインシート」
「経営デザインシート」は、コラム 2-1-5①図に示すように、企業等が環境変化に適応し持続的成長をするために、
(A)自社や事業の存在意義を意識した上で、
(B)「これまで」を把握し、
(C)長期的な視点で「これから」の在りたい姿を構想し、
(D)それに向けて今から何をすべきか戦略(移行戦略)を策定する、
ための思考補助ツールである。
「経営デザインシート」では、「これまで」と「これから」の姿を資源⇒ビジネスモデル⇒価値の流れ(価値創造メカニズム)で整理、比較し、両者の差分から将来に向けた移行戦略を導き出すことができる。
すなわち、環境変化に適応していくためには長期ビジョンが重要であるが、本ツールを活用すれば、「これまで」の延長線ではなく、「これから」の在りたい姿からバックキャストして移行戦略を考えることができる。

◆活用イメージ
中小企業経営者にとって

シンプルに構成された「経営デザインシート」の各フレームを埋めていくことで、思考を整理しながら将来を構想することができる。その過程で、価値の提供につながるビジネスモデルや、知的財産などの資源(無形資産)もその役割とともに可視化される。また、経営者と社員が共同で作成することで、各人の意見やアイディアを整理し、企業全体としての新事業を構想することにつながる。
なお、業務上の提携先や事業承継における後継者候補と作成すれば、将来提供する新たな価値を共同で構想することもできる。

支援機関にとって
地域金融機関等・公的機関などの中小企業支援機関等が、当該企業の事業を理解する際の対話ツールとして活用することができる。例えば、コラム 2-1-5②図は、尼崎信用金庫が事業者に寄り添う支援の一環として中小企業(共栄制御機器株式会社)での作成を支援した「経営デザインシート」である(注)。
(注)首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/amashin_tsutomu_kyouei_02.pdf

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知的財産戦略本部とは、Wikipediaでは次のように説明されています。
「知的財産戦略本部(ちてきざいさんせんりゃくほんぶ、英語:Intellectual Property Strategy Headquarters)は、知的財産基本法第24条の規定に基づき、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進するため、2003年3月に内閣に設置された機関である。知的財産推進計画の作成及び実施の推進を主要な業務としている。長である知的財産戦略本部長は内閣総理大臣が務める。実体的には、知的財産戦略会議の役割を引き継ぐ機関であると考えられる。」
【構成員】
本部長
 内閣総理大臣:菅義偉
副本部長
 内閣府特命担当大臣(科学技術政策、知的財産戦略):井上信治
 内閣官房長官:加藤勝信
 文部科学大臣:萩生田光一
 経済産業大臣:梶山弘志
本部員
 他のすべての国務大臣
 有識者
  梅澤 高明( A.T.カーニー日本法人会長)
  川上量生(ドワンゴ顧問)
  小谷元子(東北大学理事・副学長)
  五神真(東京大学総長)
  迫本淳一(松竹社長)
  清水善廣(弁理士、日本弁理士会会長)
  林いづみ(弁護士、桜坂法律事務所パートナー}
  林千晶(ロフトワーク代表取締役)
  山田理恵(東北電子産業社長)
  山本正已 (富士通取締役シニアアドバイザー)

というメンバーで構成されています。

知的財産推進戦略、価値デザイン戦略、海賊版対策、クリエイトジャパン、知財創造教育推進コンソーシアム、デジタルアーカイブ産学官フォーラムなど幅広い議題を取り扱っておられます。

その一つが「経営デザインシート」です。
経営の普遍的な考え方を整理した図にもとづき、過去の振り返りや、顧客に対してどんな価値を提供するかなどを整理する。
経営品質と同様のフレームワークと言えます。

このような考え方に基づいて自社の経営戦略を考え、実践していくことが普及すれば、次の段階として経営品質に取り組む企業も増えそうです。
経営デザインから日本経営品質賞までがつながるといいですね。


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