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自治体などと連携した事業引継ぎ支援により中小企業のM&Aを増加させている支援機関(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第3章 事業承継を通じた企業の成長・発展とM&Aによる経営資源の有効活用」の続きです。
「第2節 M&Aを通じた経営資源の有効活用」より、今回は「3.中小企業のM&Aを支援する機関」、「自治体などと連携した事業引継ぎ支援により中小企業のM&Aを増加させている支援機関」の事例について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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自治体などと連携した事業引継ぎ支援により中小企業のM&Aを増加させている支援機関
所在地:高知県高知市
高知県事業引継ぎ支援センター

後継者不在企業のM&Aを支援し、廃業から引継ぎへと転換
高知県高知市の高知県事業引継ぎ支援センターは、事業承継に課題を抱える中小企業のために、事業譲受を希望する第三者への事業承継支援を主に扱う機関である。

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高知県では2009年から2016年の7年間で中小企業の数が約15%減少した。特に中山間地域で事業者の廃業が多く、これにより社会インフラが失われ、人口減少が加速するという悪循環に陥っている。
この状況を変えるべく、同センターでは「廃業から引継ぎへ」をコンセプトに、事業承継の相談をしやすい環境づくりや譲渡件数の増加を目指し、「高知家モデル」と呼ぶ独自の取組を行っている。「高知家」とは、県全体が家族のように協力して地域を盛り上げるため、県が主導している地域振興キャンペーンであるが、事業承継の支援現場においても同センターと県内の自治体や他の支援機関が連携する仕組みを構築している。

全県一丸となって事業者への気付きを提供
後継者がいない事業者は、独自の後継者探しが難しい上、日々の業務を優先するために、事業承継に関する検討を先送りにしがちであり、誰に相談することもなく少しずつ事業を縮小して廃業に至るケースも多いという。同センターでは、窓口での相談受付や独自の情報発信に加え、県内の商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、金融機関などと連携し、潜在的に事業承継に課題を抱える事業者に対する啓発活動を積極的に実施している。

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また、高知県が各市町村の発行する広報誌に同センターの存在を周知する記事を掲載して26万4千世帯に配布したり、各支援機関を通じて同センターのパンフレットを配布したりするなど、広報活動においても全県的な協力を得ている。

「ネームクリア」で事業譲受の希望者を公募しM&Aを実現
各支援機関との連携は、事業譲受の候補者の探索やマッチングにも及ぶ。一般社団法人高知県移住促進・人材確保センターが運営する「高知求人ネット」で事業譲受の希望者を公募しているのも特徴的。M&Aでは対象の企業名を明かさないのが普通だが、高齢経営者の場合は、むしろ企業名を明かすこと(ネームクリア)により買い手が具体的にM&Aの検討をしやすくなるなどメリットが大きいという。同センターでは、「高知求人ネット」を通じてネームクリアの案件を複数掲載しており、2020年度は、88歳の経営者が営む老舗漬物店をみそ製造業者に承継した案件や、四万十市の民宿をキャニオニング運営事業者に承継した案件などを支援した。こうした取組により、同センターの相談件数は5年間で107件から243件に、譲渡件数は21件から157件に増加した。

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統括責任者の原浩一郎氏は「後継者がいない事業者は、引き継いでもらえるような事業ではないと謙遜するが、よく話を聞けば事業への愛情は深く、引継ぎを強く願っている。その思いが形になるよう支援したい。諦める前に気軽に相談してほしい。」と語る。
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食品の展示会でも高知県のブースでは「高知家」という統一ロゴで各種商品を展示されています。
事業引継ぎ支援においても「高知家モデル」として、後継者募集に関して実名を公開されているんですね。
確かに、「あの老舗ブランドなら」と思う方もいらっしゃるでしょう。
現在は国の施策に応じて「高知県事業承継・引継ぎ支援センター」に組織が進化していますが、実名公開はそのまま継続されています。

個人事業が多いですが、室戸市の造船所(従業員2名)の後継者募集の詳細ページです。
ーーーーーーー以下引用ーーーーーーーー
㈲宮崎造船所
【高知県室戸市室戸岬町】
・後継者を募集しています。未経験者でも現社長が技術を継承します。
・創業40年近くの室戸市の造船所です。創業時は新船を造っていましたが、今は修理等が主業務となっています。
・漁業の盛んな室戸市でも高齢化が進み、現在の造船所は2ヶ所のみ。将来室戸市に造船所が無くなる可能性があり、 宮崎社長は地域のことを考え後継者を探しています。

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やる気があれば、技術を教えてもらった上で引継ぎをすることができます。木工やマリンスポーツ関連が好きな方で、それを生業としたいのであれば、魅力的な案件ですね。

高知県のサイトに掲載されている個人商店も、営業権を譲渡するとともに、土地建物は賃借できるようなスキームが多いです。

アトツギベンチャーを目指す方がたくさん現れると日本経済にもプラスになります。このような仕組み、仕掛けを広げるべきですね。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan