トルデジアンのススメ ⑦ レース編section4
勝負の偶数セクション4
昼過ぎの一番暑い時間にドンナスを出発。
3日目から天気崩れるって予報だったのに今日も暑い。
ローマ時代からあるというポン・サン・マルタンという橋を渡ってから高度を上げていきます。
ドンナスからアップダウンを繰り返すんですが全然コーダ小屋に着きません。
累積で2782mもあるからそりゃそうか…。
もうすぐ小屋かなぁと思った頃に、このレース中、初めて稜線に出ました。
そしたらすごい風。ずっと暑かったので半袖短パンでしたが、これは低体温なる、ヤバい!と慌てて上下レインを着込みました。
震えながら何とか20時前にコーダ小屋に到着。
メジャーな小屋だけあって規模が大きくて華やかです。
有料メニューの肉を楽しみに行ったんですが残念ながら時間外(>_<)
しょうがないのでパパっと補給を済ませてバルマ小屋に向かいます。
バルマ小屋までは8.7km、652mアップの857mダウン。
これならすぐ着くんじゃね。
ところが全然着かない。景色もあまり変わらないので同じとこグルグル回ってるような気もしてきます。
ようやく半分
コーダ小屋から3時間ほどかかってバルマ小屋に到着。
ここで175km、累積+15,512mなのでちょうど半分です。
バルマ小屋で少し寝る計画だったので受付に行ってみるとかなり待つ様子。しかもここはGracierの選手も来るところで、TOR330の選手よりもベッドが優先されるらしい。
ベッドを待つスペースに長椅子があってそこが空いたので無理矢理寝たら1時間ちょっと寝れました。ライフベースじゃないのにこれだけ寝れたら十分。
起きてからレース始まって以来初の有料メニューを注文。カプチーノ2ユーロ也。
ボロネーゼはメニューになかったけど言ってみたら奥から出てきました。
それまでちょっと冷めたトマトソースしかなかったので沁みるおいしさ!
人生最高のボロネーゼかも。思わずおかわりしちゃいました。
バルマ小屋ではGracier(TOR450)に出場している武田さんに初めてお会いしました。
今回の日本からのGracier参加者は朽見さん、田口さん、武田さんの3人。
武田さんはかなりお疲れの様子でした。TOR330が完走できるかも分からないのにTOR450は想像を絶します。
ちなみに今回完走できたのは朽見さんだけだったようです(11位)。
嵐に遭遇
寝て食べて元気になったので先へ進みます。
が、このあと嵐に遭遇。
雷も光ってるけど音は遠いのでしばらくは進めそう。
雨がひどくて山と道のAll-weather jacketの限界値を超えて水が沁み込んできます。
雨宿りしたいけど草原のようなところで雨をよけるものがない。
しょうがないので虚無の状態で小屋へ急ぎます。
何とか小屋(多分Lago Chiaro)に到着。
小さな小屋でテントみたいなところに選手が溢れかえっていてみんな震えてます。
常ちゃんもここでしばらく停滞している様子。
雨がさらに強くなってきて外に出れないので持ってる服全部着込んで温かいもの飲んで低体温にならないように気をつけます。
30分ぐらいウトウトしながら待ってるとちょっとマシになってきて外に出ていく選手もチラホラ。
意を決して常ちゃんと共に出発。
幸い歩いてるうちに雨は上がりました。
アップダウンを繰り返しつつ、高度を下げていってNielへ到着。
きれいな小屋でゆっくりしている人も多いです。
ここで名物のポレンタを発見。とうもろこしの粉が原料でペースト状になっった北イタリアの郷土料理です。
先に食べてた常ちゃんは「私無理やわ~」と言ってたけど僕はアリでした。
マッシュポテトが好きなんですが雰囲気は似てて、トマトソースとよく合います。
この小屋は割と開けた場所にあって電波が入ったので日本から仕事の電話がガンガンかかってきました。日本は平日の昼間だししょうがないんですが、現実に引き戻されるようで何となく萎えます。
魔法のテーピング
Nielからひと山Col Lazoneyを超えてようやく4つめのライフベース、Gressoneyに到着。
セクション4は結局24時間近くかかりました。噂に違わぬキツさ。
1~3まで足を温存してきたんですが、4で一旦売り切れ。
マッサージで回復させなければ!と行ってみると
「お前、足をケガしてるじゃないか。それじゃあオイルマッサージは無理だ。テーピングの方が大事だ。テーピングをしなさい。」
イタリア語なので分かんないですがそんなことを言ってそう。
「いやいや軽い靴擦れだから。こちとらマッサージの方が大事なんだって!」
と粘ってみたものの聞いてくれないので諦めてテーピング。
そしてこれがめちゃめちゃ丁寧でめちゃめちゃ時間かかる。
ウトウトしてたので正確には分からないけど30分以上かかってるはず。
もー予定狂うわ〜
しかしこれがものすごい技術だったのです。ゴールまで足裏ノートラブル。
ガーニーグーも塗るスペースないからこのあと一度も塗らず。
ゴール後剥がしてみたら足裏ツルツルでした。
外国人選手はみんなテーピングに並んでたんですがそれも納得。
何ならテーピング職人を一人日本に連れて帰りたいぐらいです。
雨に濡れたのでここで初めてシャワーを浴びて着替え。
2つめのTシャツはキャノンボール。
気持ちも新たに次のセクションに向かいます。
<Section4 Donnas~Gressoney.S.J>
D+6058m 57.1km
実測 D+4892m 59.25km 23:39
<LB4 Gressoney.S.J>
IN 9/13 13:29
OUT 9/12 18:32
滞在 5時間2分 睡眠 2時間
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