トルデジアンのススメ ⑩ レース編section7(ゴール)
爆笑珍道中
最後のライフベース オロモントを常ちゃん長井さんと共にスタート。
時間的にゴールは確実なのでのんびり進みます。
山に入ってすぐの木像の口にグミが挟まってて、よく見たらグミが下品なやつで3人で爆笑。
その後もここには書けないような毒のある話や下品な話が続き、しゃべりっ放し。
すれちがったイタリア人からは「みんな終盤でしんどそうなのにお前たちは何でそんなにやかましいんだ!?」と呆れられる始末。
写真もいっぱい撮ったし、エイドでもゆっくり休んでもうすぐ終わるレースをしっかりと味わいました。このセクションが一番楽しかったな。
熱烈な応援
昼頃だったので山歩きしている地元の方も多かったです。
みんな恐ろしく速い。
カモシカみたいな足の女性に颯爽と抜かれて、後で下りてきた時にすれ違ったらおばあちゃんでびっくり。
あるいはちょっと小太りのおじさんが犬を連れてて、登りをずっと走ってるんですが、あっという間に遥か彼方のコルに到着してたり。
この環境で育つと普通なんやろか。とてもこっちの選手に敵う気がしません。
レース中、たくさんの地元の方に会いましたが、みんな熱烈に応援してくれます。
「ブラービブラービ(素晴らしい)」「アレアレ(頑張れ)」「ダーイ(さあっ!)」などなどいろんな言葉をかけてくれます。
エイドのボランティアの方も含めて350km、150時間を走るちょっと変わった人たちを称える気持ちが伝わってきて、それをエネルギーにして気持ちよく走れました。
応援に対して「グラッツェ」としか返せず、イタリア語、せめて英語がもう少ししゃべれたらコミュニケーション取れたのになぁ。
帰国後にボラをしたLAKE BIWA100に外国人選手も来てたんですが、トルデジアンでのお返しをするつもりで応援しました。
ひと山登ってからは長い下り。ここも走らずゆっくり。
こういうとこ走ればタイム詰められるんやろうけど、130時間は無理だし、昼間のゴールも難しいのでのんびり進みます。
長い坂を下り切るとサンレミボスのエイドに到着。
ここでついに同室のアキラさんに追いつかれます。
アキラさんはスタートしてすぐロストして最初の関門に引っ掛かりそうになったり、時計壊れたり、反対方向進んだり、でもすごいスピードで追い上げたりととにかくドラマチック。
ほんと馬力あるし、ムダに速いですw
最後の山 マラトラ峠
サンレミボスを出て、いよいよ最後の山、そしてTOR330のマークにもなっているマラトラ峠に向かいます。
コース全体を通じて登りの斜度は緩めでしたが、マラトラ峠はそれなりに斜度がきつくてつま先で登るような状態。
何とか常ちゃんについていきます。
常ちゃんはとにかく安定してます。登りも下りも出力が同じでペースが変わらないし、休憩もしない。
まだまだ余裕あって長井さんや僕に合わしてくれてるんだろうなと思います。
途中、暗くなってきて牛追いの風景にも出会いました。
人と犬が協力しながら牛を囲いの中に追い込んでいきます。
牛追いがひと段落すると後ろから車がやってきました。
車から降りた人が前からTOR330のマーキング串を刺しながら歩いてきます。
どうやら牛がマーキングを食べるので牛が牧場に戻った時間を見計らって刺し直しているようです。こんな山の中までご苦労様です。
マラトラ直前の小屋 Rif.Frassatiに到着。
有名な小屋らしく、たくさんの人で賑わっています。
横では誕生日パーティをやっていて美味しそうなケーキが。
しばらくすると小屋の人が出てきて
「一番遠くから来たのは誰だ!?」みたいな話になって、日本から来た僕らにもお裾分けがありました。山の上とは思えないちゃんとしたプチケーキでおいしかったです。
休んでいる途中に厨房の人が出てきて、イタリア語で日本の名前を言いながら「ちょっとこっち来てみろよ」と手招き。
日本人でも働いてるのかなと思ってついていくと『HOSHIZAKI』の文字が給湯器に輝いていました。
「いいの使ってるだろ!」と自慢したかったようです。
アキラさんも追いついて一緒に出発。
マラトラ峠が近づくと急な岩場も増えてきて、暗いこともあって緊張しながら進みます。
もうすぐマラトラ峠という地点で、常ちゃんが前でバランスを崩した外国人選手に巻き込まれて危うく滑落しそうに!
右側は切れてたので落ちてたら50m以上は滑落して大ケガしてたかも。
常ちゃんはビビるというよりは前の選手にキレてましたが(^^;)
感動のゴール
マラトラを超えてから最後の下り。
突然常ちゃんにスイッチが入ったのか爆走!速すぎて誰もついていけず。
追いつくと「最後やしトレランしてみた」だそうです。力残してるなぁ。
ペースを落とすと眠気も襲ってきます。
Ollomontでほとんど寝なかったのがここへ来てキツイ。
口内炎で切れた口の中にレモンを掘り込んで目を覚まします。
途中からUTMBのコースに合流。ガレててそれなりに急なので足にきます。
下りにはうんざりしてるので、最後の下りを噛みしめるというよりは早く終わってくれという心境。
昼間ならこのへんも絶景らしいですが、夜中なので心の目で楽しみました。
少しずつクールマイユ―ルの明かりが近づいてきます。
夜中3時の街は静かでしたが、ゴールの近くにはそれなりに人がいてくれて歓迎してくれました。
ゴールの前で誰が最初にゴールするか4人でじゃんけん。
じゃんけんの結果、常ちゃん⇒僕⇒長井さん⇒アキラさんの順番でゴール。もっとも常ちゃんはセカンドスタートなので僕ら3人の2時間前にいるんですが。
4人で写真も撮れて最高のゴール。
長い旅が終わりました。
<Section7 Olomont~Courmayeur>
D+4277m 50.8km
実測 D+3351m 53.94km 17:48
<記録>
137時間35分12秒
335.32km D+29608m(実測 361.5km D+24768m)
1093人出走、完走620人(56.7%)、順位363位
日本人参加者 約60人出走、完走21人
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