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フィリピンオフショア開発起業あれこれ

■ 自己紹介
株式会社YNSの代表取締役を務めております、山崎学と申します。note初投稿です。簡単に自己紹介してみます。

学生時代はラグビー部に所属し、新卒でITエンジニア(いわゆる社内SE)になりました。ラグビー部員がITエンジニアになるケースはわりとレアで、友人からは「絶滅危惧種」とからかわれています。その後、システム開発会社やITベンチャーの立ち上げで技術責任者を担当しました。日本で約10年間活動したひとつの分水嶺となる出来事として、ネット系最大手のY社に会社をバイアウトする経験をしました。その際、受託開発系の契約の一部を引きついでスピンアウトすべく、株式会社YNSを立ちあげ、現在に至ります。立ち上げ当初は法人ではありましたが、従業員はいませんでした。
2014年に、従業員を雇用して規模を拡大し、開発会社をふたたび起こそうと、フィリピンの首都マニラに移住しました。

2019年10月現在、日本とフィリピン半々くらいで活動中です。
■ フィリピンで会社をはじめた理由
会社をバイアウトしてから移住するまでの数年間、毎年1か月間ほどフィリピンに英会話留学しました。留学中は勉強していただけではなく、日本人会のラグビー部に参加したり、フィリピンで事業をおこなっている方に会って情報交換したり、JETROのフィリピン視察ツアーに参加したりして、楽しく刺激的な日々を過ごしました。
フィリピンや日本でいろんな人に出会い、なにか新しいことをするなら次はちがう環境でスタートしたいと思いました。起業経験のある日本ではなく外国でチャレンジしようと画策し、インドやバングラデシュなどまわったところ、結局フィリピンに落ちつきました。落ちついた理由はおおむね以下のとおりです。

・日本から近い(成田から4時間)
・英語でビジネスできる(英語が通じる人を相手に自身の力を高めたい)
・比較的物価が安い(安いだけでなく快適!)
・食事に困らない(現地の食文化が楽しめ、日本食レストランが多い)
・活気がある(人口が増え、若い人が街にあふれている)
・IT系BPOが発展途上(当時のベトナムはすでに成熟していると感じた)
・親日

また、フィリピン(特にマニラ)は治安の面で不安があると思われがちですが、ビジネス街で生活する分にはそれほど不安感がなく、むしろそうした不安が参入障壁となり大企業が来ないなら、私にとってフィリピンはニッチ(適所)かと考えました。
■ そもそもなぜ会社をふたたびはじめたか
ひとことで言うと「個々の努力により自己実現を具現化するための箱(環境)を作りたいため」です。この根拠は、Wantedlyにも記載されているとおり「がんばれば報われる場所をつくりたいから」と呼応します。

社内SEとして新卒で入職した中堅企業をやめて起業した動機は、私自身の自己実現のためです。
社内SEの頃は、社内システムの開発、サーバ保守、社内LANの管理など、だいたい一人でやっていました。そうしているうちに気づいたのが・・・

・社外の人と接点をもちたい(接点ほぼゼロ)
・リモートワークしたい(通勤する費用対効果なし)
・納期を守るかぎり自由に時間をつかいたい(フリーランスに近い)

というところで、当然いくらかは迷いましたが結果的に退職し、準備期間をへて起業しました。これは2000年前後の話で、今とはかなり状況が異なりますから、私の希望はそうかんたんに受けいれられるものではありません。いっぽう現在のITエンジニアは、他の職業とくらべるとわりと受けられる恩恵の多い職種だと思います。たとえば、

・給与が比較的高い傾向(東京にかぎり?)
・リモートワークが普及しつつある
・IT技術を駆使する仕事は当面なくならないだろう

もちろん、誰でもITエンジニアになれるわけではなく、それなりの努力や資質が必要です。なれたとしても、かつての私のように世間との接点がもてず、ブラック企業の酷使に疲弊している方がたくさんいるのも事実。そういう状況が打開できるようチャンスを提供したいと考え、ソフトウェア開発事業と並行してITエンジニアの養成もおこなっています。
■ 提供、育成、よりよい機会を
この人は機会に恵まれてないのかなと思うことがあります。
ITエンジニアとして派遣される契約で、経験5年以上にもかかわらず一つのプログラム言語やフレームワークしか経験していないとか、詳細設計後の実装しかしたことがないとか、ろくに成長のチャンスが与えられず、端的に言ってしまえば飼い殺しされてきたのかもしれません。そんな環境から抜けだす努力をして、よいところにうつる人もいるでしょうが、個人的には、従業員の育成を重視しないビジネスにあまりよい印象がありません。

弊社では、IT技術を駆使する業務が未経験だった人でさえ、3年もすれば複数の言語とフレームワークをもちいた実装を経験の上で、設計やチームマネジメントも遂行できるようになるのが平均的な結果です。仕事をする以上、成功だけでなく失敗もあります。どちらからも学べることがあります。だんだん、個々の成長を促進するのによい環境になってきていると感じています。
■ フィリピン人の正規雇用
フィリピン人にとってITエンジニアは、正規雇用となる数少ない職業であり、ほかの単純労働とくらべれば給与が高額です。ただし、ある程度裕福な家庭に育ち、IT系の大学を卒業しないとなかなか就職は難しいでしょう。経済合理性のうんぬんかんぬんもいいんですけど、それで幸せな人が増えるかというとちがうと思います。恵まれた環境にいない人にも、ある一定の期間に無償でIT教育をほどこし、素質があると見こめた場合には4年生大卒と同じように正規雇用で採用できるような仕組みを用意します。
■ フィリピンで大変だったこと
まぁとにかく大変です。フィリピンで起業する前に日本で2回起業していますが、どちらよりも大変だったと思います。細かいことを言うときりがありません。

・家族が大事で最優先!(なので仕事の優先度は低い)
・ITエンジニアの中途採用は困難!(市場にいない)
・シャイ!(自己主張しなかったり言うべきことを言わなかったり)

などなど、異文化で日本とちがうからおかしいと言いたいわけではありません。マネジメントにかんするマインドセットを根本からアンラーニングしないといけませんでした。そしてあらためてやりかたを模索する必要が生じ、これもちがう、あれもちがうの連続でした。
■ まとめ
フィリピンは若い国です。日本にくらべれば発展途上のところも確かにあります。しかし、日本にいたときの飢餓感というか、とにかくやりたいようにチャレンジし、いろんな施策が安価に打て(社員寮の設置や研修実施)、少しずつ結果を出している現状を楽しめていますし、日本から飛びだしてみて私の人生は格段に豊かになりました。年々、新卒のITエンジニアのレベルが上昇していると感じられるので、今後ますます期待できそうです。

フィリピン開発拠点の立ち上げやマネージメントや主に日本でのBizDevなど。