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回顧録-3

「散々期待させといてつまんなかったらどうしてくれるんだ。」
「あんたガキだね。自分の機嫌ぐらい自分で取りな。で、続き。」
俺の視線をものともせずに、彼女は話を続ける。
「とうとう世界が終わる、って言われてた日になった。それでも、日常は続いた。あたしの知るあの国は、馬鹿みたいに真面目な国だったからね。」
世界が終わる日にまで日常やってるなんてマジで馬鹿みたいに真面目だな。
てか。
「そこまでいくと馬鹿だな。」
「あんたに言われるんじゃあオシマイだ。」
「んだとてめぇ」
「黙って聞きな。」
口にタバコを突っ込まれた。

「で、ああ、そうそう。勉強の最中に急に空が明るくなってね。『ああ、おわりか』なんて話したりしてたわけだ。」
彼女が三本目のタバコに火をつけた。
「でも、あんなデカブツが落ちたって割には、なんともなかった。落ちた後も、今の『聖域』みたいにでっかいのがそこにあった。学校から見えるぐらいにはデカかった。・・・嫌な予感がしたよ。」
煙を見つめる彼女の目には、俺を含め目の前の光景など映っちゃいない。
不思議と、そう感じた。
「家に帰ってそこにあったのは、あたしの家の残骸と、判別もできない血だまり、それから。」

「――巨大な、眼球。」

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