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"働き方改革"ってのは労働時間が短くなったらいいって話じゃない

こんにちは!株式会社フォーバル山本裕介です。『コンサルタントが不要な会社を増やす』を目標に、経営コンサルタントとして活動をしています。経営者・管理職だけでなく、コンサルタントの皆様にとってもプラスになる情報を発信していきます。特に、主体的で自律的な"自走式な組織づくり"のヒントになるようなことを中心にお伝えしていきます。

2019年4月1日から働き方改革関連法案が順次適用開始されて1年が経ちました。皆様の会社ではいかがでしょうか?何か変わりましたか?早いところでは2019年4月に向けてそれ以前から準備を進めるような企業もありました。

しかし、『うちは全く変わっていないですよ~』という声が聞こえてくることも実はあるのです。本当の意味で変化がゼロだということではないと思っているのですが、"実感として"変わっていないということでしょう。

働き方改革というと以前にも記事に書きましたがどうしても『残業ゼロ・休日出勤ゼロ・有給たくさん』のような印象が先行しており企業経営者の中にもネガティブに捉える方が少なくありません。

ここに書いた通り働き方改革の目的は『国民の豊かな生活の実現×日本経済の再活性化』ということです。そのために企業は限られた資源(人モノ金時間×情報)をフルに活用して生産性を高めましょう!それで生まれた利益を人に分配して、購買を促しましょう!!!ということなのです。
(健康面のことなどもあるので注目されているが、時間外勤務を無くしましょう!なんて目的には書いてない)

1.味の素の取組で気づく"ゼロベース思考"の大切さ

味の素流働き方改革資料(外部リンクでPDFが開きます)

上記の資料によると、あの味の素社は2008年からワークライフバランス(WLBプロジェクト)と会社の目指す姿に照らし合わせた取り組みをしてきたそうです!!!!(素晴らしい)

また、次のようにサイト内でも取組について発表されています。是非参考にしてください!

➤味の素社のサイトへリンク

時間変化

なんとまあ、所定労働時間がどんどん短縮されているじゃないですか。残業時間(時間外勤務)を無くすどころか、そもそもの働く時間を短縮していこうという計画があったとは驚きではありませんか?

へんか

この説明を見て実感したのは改革を進めるために"ゼロベース"で当たり前を疑って挑戦してこられたんだなということです。経営陣から幹部、管理職などをはじめとした層の考え方や会社のルールに至るまでこれまでの延長線ではなくがらりと変えなければならない!という決意の元取り組んだのだろうと想像できます。

『残業を前提とした働き方から脱却』と言う言葉がいくつか出てきますが、そのような気持ち・考え・姿勢がまさに表れているなと感じます。

『そもそも違うよね』ってことを言っているのですね。

残業時間が長いから削減しよう!ではなく、そもそも残業時間を前提にしていることもおかしいよね、労働時間を短縮できるんじゃない??という発想は新しいなと感じました。


2."残業ゼロ達成!"という目標設定に思うこと

私がかかわりを持つ企業のほぼ100%が働き方改革への対応をこの2年くらいは経営課題の一つに挙げているくらい言葉が浸透していると感じます。

以前も紹介しましたが詳しくはこちらのポータルサイトをごらんください

今では働き方どころかその間にある『休み方』まで言及するくらいに進化を遂げています。いや、休みが間にあるというのか、仕事が間にあるのか、まさに仕事と生活の両立というところでしょうか。

Twitterで『ワークライフバランス』と検索すると色んな考え方が出てきますね。

仕事と生活のバランスという観点以外にも、『分けた考え自体が違うのでは???』とか『ずっと働きたい!』なんて人もいらっしゃるようで、まさに多様化したなあと感じるところです。

様々な人の考えを聞いていて感じることは、『残業ゼロ!!!』みたいな目標に違和感があるということです。ここでいう『残業』とは『時間外勤務』のことを指していると認識していますが、合っていますでしょうか?

■言葉の意味
残業:規定時間後まで残って労働すること。また、その仕事。居残り。

まあ、その通りなのですが、『残ってまでやることですか???』ということであれば『ゼロ』で良いと思っています。この場合の改善策はそんなにたくさん無いでしょう

■『時間内でやるべきことが終わっていない場合』の対応
・やり方の見直し(自動化、やる事管理、計画など諸々)
・業務の采配の仕方の見直し(その人に依頼すべきかどうか)
・他の人でカバーできるか検討(もはや他の人に頼む)
・素の業務自体無くす(それ自体無駄)

これくらいの対応策だと思います。(抜け漏れあれば教えてください)
これらの方法は『仕事の仕方を残業を前提にしていないかい???』という味の素社の考え方を基本にしていくと解消できる気がしています。

が、もう一つ違う角度で見ることもできないでしょうか?

『時間外働いたらダメなの?』

そうです、これです。私はこれも本当に思うのです。

働き方改革の狙いが『生産性を高める⇒利益を増やす⇒社中分配増やす⇒経済まわす』だということなので、そもそも生産性高めることになっていないとか、利益が出ない様では全く持ってダメなことだと思いますが、シンプルに"時間外だけどどうしても必要!”というその仕事をやることで生産性が高まるということもないでしょうか?

ここの見極めを間違ってはいけないのですが、私は全力でやるべき時は時間をオーバーしてでもやるべきだと思っています。もちろん!効率的にやる方法を常に念頭において進めることが前提です。

※時間外勤務手当など必要な対応はさらに!前提ですよ


3.言葉の定義を確認しましょう

とここまで頑張ろうぜ!的なことを書いてきましたが、その前に言葉の定義については挙げておきたいと思います。

■言葉の定義
❶生産性とは
経済学で生産活動に対する生産要素の寄与度、あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のことを指す。 一定の資源からどれだけ多くの付加価値を産み出せるかという測定法と、一定の付加価値をどれだけ少ない資源で産み出せるかという測定法がある。

❷効率性とは
経済学において、効率性とは、資源・財の配分について無駄のないことを意味する。

ちょっと得意のウィキペディアで調べてみたら難しい表現が出てきましたが、『生産性』と『効率性』という言葉が同じような場面で使われがちなようなので挙げておきました。

性格には後者は『効率的』とか言われることが多いですね。

何が言いたいかと言うと、働き方改革の生産性向上=効率化ではないということです。効率化ばかりが目立ちがちなのですが、その前に『生産』、つまり『付加価値』をどれだけ生み出すことができるかってことに注目をしてほしいと思っています。

なので、『働き方改革なので早く帰りなさい!』という指示も『働き方改革なので休みま~す』という考え方も間違ってはいないけれど本来実現すべきこと、優先順位の高いものが無視されているケースが多いよ!ということです。


4.私たちが目指すべきことって何なんだろうか

『そもそも価値観によるでしょそれ』

これはすごくわかりますし、おっしゃる通りなので全人類、全日本人、全日本で働く人をくくった意味での『私たち』を使うつもりは毛頭ありません。

が、働くことには『生産性を高めて稼ぐ』が中心にあるとすればできる限り効率的に働いてさっさと帰るというのも大きな間違えではないのですが、『国民の豊かな生活の実現』があるとすれば、生産(働くこと)によって生み出す付加価値がより大きくなることを目指さなければならないと思うのです。

『〇〇しなければならない』と言ってしまうと強い限定した表現になって今いますし、『いや、収入ゼロでも自給自足で暮らすのが夢だし』という方にまで押し付けたいわけでもないのです。

そして、1,000万円稼ぎましょう!!!と言いたいわけでもないです。私自身いくら欲しいという思いで働いているわけではないので。

話が大幅に逸れたので戻しますが、『働き方改革の目的』という点に絞って考えれば、『企業の生産性を高め・・・』と言っているわけなので企業で働く人は少なくとも付加価値を最大化できるように創意工夫をしていくことを考えていく必要があると思います。

次のことが企業で働く上での目指すところなのでしょう。

■私たち(企業)が目指すべきこと(優先順位)
・これまでより短い時間で同じ付加価値を生み出す
・これまでと同じ時間でより大きな付加価値を生み出す
・これまでより短い時間でより大きな付加価値を生み出す

1つめは理想ではありませんが、同じ付加価値を生み出すのであればより短い時間(効率的に)でできるようにすべきでしょう。

そして、生まれた時間でさらに大きな付加価値を生み出すための取組をすれば2番目もできるでしょう。

しかし、3番目だけはこれまでの延長線のやり方ではダメなのです。つまり、ゼロベース思考で取り組む必要がありますね。

生産性向上の為に、まずはこの3段階で考えてみてはいかがでしょうか?いきなり3番目に行けるならそれに越したことはない、でも社員が皆自信をもって取り組むためには順番に着実に進める方がいいこともあるでしょう。

※注意点※
当たり前のことですが、健康を害すような長時間労働はよろしくないです。また、労働環境が最悪・・・というパターンは論外でしょう。その場合は即座に改善すべきです。


長々と言いましたが、私が考える働き方改革は『時間短縮』じゃないってことです。これまでにない全く新しい思考を持って、これまでにない効率的な環境・やり方をして大きな付加価値を生み出すのです。

生み出した付加価値は確実に社中分配に跳ね返ります。そしてそれが購買を促し、経済は活性化するのです。

もちろん、何にお金を使うか?も変わっていくと思いますので、人々の『欲しいもの』や『豊か』の定義は時代と共に変わると思います。今回の新型コロナの影響で間違いなく社会的な変化が起こっているはずです。

しかし、付加価値を作っていこう!という企業で働く我々にとっての目指すべきところはブレないと私は考えています。


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