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(2)救護施設と住んでる人

基本的に高齢者。かつ一般生活が困難な人。
他にも身体障がい、精神障がいがあるけど身内に頼れず生活保護を受けている人。
あとはアルコール中毒で生活できなくなった人とか理由は様々である。

ただ、間違いなく言えるのは全員もれなくクソ人間。もちろん俺も含む。

ワガママ、会話できない、人の陰口をひたすら言う、怒鳴るといった要素は大体みんな持っている。
それと全く風呂に入らなかったりなど、衛生的に社会生活を送れない人もいる。
お風呂入ってます?と聞いても「入っている!」の一点張りでたまに逆切れしてくる。

あとはシンプルに窃盗癖のある人。
どうも何かを盗まないとストレスが解消されないらしい。
そのせいでしょっちゅうトラブルになるが、僕の住んでいる施設は他の老人ホームとかで盗みを繰り返して追い出された人たちも受け入れる上級者施設なので、そういうのはあって当然という風潮がある。
一緒に暮らしている我々からしたらたまったもんではないが、自分たちもクソ人間なので仕方ない。

そんな人間が100人近く集まって生活をするもんだから毎日どこかでモメている。
イメージとしては高齢者たちによる学級崩壊みたいなもん。

「私は優等生です!」といった面をして人の細かいところをやたら注意してくる婆さんもいるが、みんなそいつが泥棒であることを知っている。
昔ながらの嫌な姑みたいな感じで人の様子をじっと見ては、職員に「この人がこんな悪いことをしていました」と報告に行く。
そんな正義感があるなら人が捨てたゴミを漁って部屋に持ち帰って物色するなと言いたくなる。

その結果付いたあだ名が「クソババア」。
シンプルストレートすぎて最初聞いたとき笑ってしまった。

あだ名については他の人も結構付けられている。
太っている奴は「横綱」、ハゲている奴は「らっきょ」など非常にわかりやすいネーミングでセンスが光っている。「バカ」というもう悪口じゃんという人もいるが、「あのバカがね」と言われたときに「あぁ、あいつか」とすぐ連想できるので結構ちゃんと定着している。

たまに「あのバカがね」と言われたときに、「どのバカのことですか?」と聞き返すときもある。

ただ全員クソ人間と書いたが、ちょくちょく人の良いお年寄りが混じり込んでいる。
施設に入ったから優しくなれたのか元々そうだったのかは不明だが、そういう人たちとお話しするのは楽しかったりする。

その一方で最初は優しく近づいてきたのに自分の思い通りにならないからと本性を現して急に敵対してくるやつもいる。というかそっちの方が多い。

というか外での社会生活が送れない人間同士が仲良くしようとしてもどこかでボロが出る。
結果いつもケンカになるが、なぜか仲直りして、結局またケンカしてる。

救護施設は一応社会復帰への自立を目的とした場所ではあるが、現実はこんなもんである。

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山本 星海
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