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困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案草案趣旨説明

(動画)参議院厚生労働委員会

令和4年4月12日(火) 10時~

動画

https://youtu.be/n7rb0HJiLtM

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案に関する件

・草案趣旨説明 山 本 香 苗 君

・国会法第57条の3の規定による内閣の意見聴取

・委員会提出の決定(異議の有無をはかる)

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案草案趣旨説明

ただいま議題となりました「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」の草案につきまして、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

現在、居場所がなく家出した若年女性、性虐待・性的搾取の被害者、家庭関係の破綻、生活困窮等の困難な問題を抱える女性に対しては、昭和三十一年に制定された売春防止法に基づく婦人保護事業による支援が行われています。しかし、近年、女性が抱える問題が多様化、複合化、複雑化し、現在既に婦人保護事業として行われている支援の実態と乖離が生じています。

その上、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、支援を必要とする女性が増えているにもかかわらず、支援になかなかつながらないといった実態も浮き彫りになりました。このため、現場の支援者等からも、売春を行うおそれのある女子の保護更生について定める売春防止法を根拠とする従来の枠組みから脱却し、ニーズに応じた新たな女性支援の枠組みを構築することが強く求められています。

こうした状況の下、本案は、女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多いことに鑑み、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により困難な問題を抱える女性や、そのおそれのある女性の福祉の増進を図るため、支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的として、婦人保護事業で行われている支援の実態を踏まえ、困難な問題を抱える女性への支援に関する必要な事項を定めようとするものであります。

次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。第一に、基本理念として、困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら、最適な支援を受けられるようにすることにより、その福祉が増進されるよう、多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること、関係機関及び民間の団体の協働により、早期から切れ目なく支援が実施されるようにすること、人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすることを定めております。

第二に、国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講ずる責務を有し、施策を講ずるに当たっては、関係地方公共団体相互間や、支援機関と関係機関との緊密な連携が図られるよう配慮しなければならないこと、厚生労働大臣は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本方針を定め、地方公共団体は、基本方針に即して、施策の実施に関する基本的な計画を定めることとしております。なお、基本方針等においては、現在の婦人保護事業及び他施策との連携等について定めることを想定しています。

第三に、売春防止法における婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設の名称を改めた上で、女性相談支援センターの設置、女性相談支援員の配置、女性自立支援施設の設置について規定し、女性相談支援センターは困難な問題を抱える女性の立場に立った相談、一時保護等を行うこと、女性相談支援員は困難な問題を抱える女性の発見に努め、その立場に立って相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な援助を行うこと、都道府県は、困難な問題を抱える女性の意向を踏まえながら、女性自立支援施設に入所させて、保護を行うとともに、自立の促進のために生活を支援し、あわせて退所した者について援助を行うこと等を定めております。

第四に、現在の若年被害女性等支援事業を念頭に、地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、困難な問題を抱える女性の意向に留意しながら、発見、相談その他の支援に関する業務を行うこととしております。

第五に、地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関等により構成される支援調整会議を組織するよう努めるものとし、支援調整会議は、必要な情報の交換や支援の内容に関する協議を行うものとしております。

第六に、国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関し国民の関心と理解を深めるための教育及び啓発や、自己がかけがえのない個人であることについての意識の涵養に資する教育及び啓発を含め、女性が困難な問題を抱えた場合に支援を適切に受けることができるようにするための教育及び啓発に努めるとともに、調査研究の推進、人材の確保等及び民間の団体に対する援助に努めることとしております。

第七に、費用の支弁等について、地方公共団体が民間の団体との協働による支援を行う場合における民間の団体の活動に要する費用への補助を含めて規定しております。

なお、この法律は、一部を除き、令和六年四月一日から施行することとしております。また、政府は、公布後三年を目途として、この法律に基づく支援を受ける者の権利を擁護する仕組みの構築及び当該支援の質を公正かつ適切に評価する仕組みの構築について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるほか、施行後三年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。

あわせて、この法律の施行に伴い、売春防止法のうち、補導処分について定める第三章及び保護更生について定める第四章を削り、婦人補導院は廃止することとしております。

以上が、この法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

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