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今回は、すっかり定着した弘前さくら祭りの新しい魅力「花筏(はないかだ)」について書きたいと思います。

記録的な早咲きのさくらは、もう散り始めています。
弘前市民が日本一の桜まつりと自負する「弘前さくら祭り」は、先週17日から実質的に開会し、コロナ禍なので自粛している方が多くいるのか人出は例年にはまったく及ばないものの、県内外からそれなりの数の観光客が桜を楽しみに訪れているようです。

弘前のさくらは、りんごの栽培技術をベースにした独特の技術で管理されており、その技術で管理されている花は、他にはない「圧倒的なボリューム感」があります。
数年前までは、まさに咲き乱れるこの花のボリューム感が、弘前さくら祭りの最大の「売り」でしたが、最近は、桜が散ってから新しい楽しみ方をされている人がかなり増えています。

弘前公園は、城郭としては全国でも最大規模の史跡で、その周りをお堀で囲まれています。
圧倒的なボリュームで咲いた花びらは、散った後にそのお堀に落ちます。
その花びらが溜まっていき、ピンクの絨毯のように一面に敷き詰められた情景を「花筏(はないかだ)」と呼んでいます。
ここ数年、弘前さくら祭りの新たな魅力として市をあげてアピールしてきており、昨今のSNSの普及とも相まって、いわゆる「映える」スポットとして人気を博しています。
以前は、祭りの後半に桜が散ってしまってお客さんが減ってしまっていたので、弘前の春の観光を支える新たな観光資源として有効に機能しています。

その花筏ですが、当然に自然現象としては以前からあったものですが、いつも美しく見せれるようにコントロールできるようになったことがきっかけで観光資源として売り出すことになったという背景があります。

お堀の水は流れが弱いのでどうしても水質が悪化して時には悪臭がすることがあります。弘前城のお堀も例外ではなく、毎年夏にはそのような時もあったようです。
弘前市では、津軽ダムの建設に合わせて市内の融雪に使う水を岩木川からひくことにしました。その時にお堀を河川に指定することで、岩木川の水をお堀にもひいて水質の浄化もすることとしました。
その結果、流れを強くしたり時には止めたりとお堀の水をコントロールできるようになりました。

ある時公園管理の担当者がお堀の説明をした際に「桜の花びらでお堀を埋め尽くすことができる」と葛西市長(当時)にたまたま話をしました。
水の流れをとめることで一面をピンク色の花びらで敷き詰め、花びらが痛んできたら一気に流して、また新しい花びらをためることができますと・・・・
桜の早咲きに悩んでいた葛西市長は直感的にそれに飛びつき「桜が散った後は日本一の花筏を堪能して!」というフレーズで市をあげて情報発信を繰り返しました。
その結果「死ぬまでに一度は見たい世界の絶景」に選ばれ、またインスタブームにも乗っかり、現在ではお花見好き垂涎の絶景としての確固たる地位を確立しています。

お堀の水の水質浄化を目的としたものが、図らずも地域の観光資源を創りだすことに繋がりました。
当時関わっていらっしゃった方々のちょっとした気づきが生み出した新たな地域資源です。
弘前市には、さくらやりんごにように先人が残してくれた地域資源がたくさんあります。
弘前さくら祭りの新たな魅力「花筏」についても、大切な地域資源として将来にわたって受け継いでいきたいと思います。

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