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気になる本の話

気になる本、読んでみたいと思う本は日々変わって行く。

例えば、前職で仕事をしていた最後の2年間、私は日本語教室の担当としてベトナムやミャンマー、カンボジアなど、アジアから来た技能実習生たちと関わって、今まであまり興味の無かった「アジア」という地域に興味が湧き出した。

例えば、この間初めて本屋として出店したイベントで旅好きのお兄さんにこれまでの旅の話を聞いていたら、なんだか冒険に出たくなってきて「海外に行きたい」なんて欲が再燃してきているこの頃。

そんな思いや興味を抱いているのが最近の私。


今週、前職でお世話になった人を訪ね、香川県へ行く機会があった。その人は、香川県や今関わっている人たちを紹介してくれて、繋げてくれて、その中で出会った素敵な方々が、高松市内にある本屋さんやコーヒー屋さんを紹介してくれた。

早速伺ったのは、高松市内にある「半空」、「Lunuganga」、そして「Yoms」というそれぞれ本に関するお店。

半空さんには夜、bar営業の時間に訪問。カウンターに座り、ぎっしりと並べられた本を背にコーヒーのカクテルを楽しんだ。

翌日昼間に行ったLunugangaさんは新刊を、Yomsさんは古本を専門にしていて、場所も斜め向かいにあって、本好きの人にとってはきっと最高の場所なんだろうなと思う。高知にもこんな場所があったらいいのにと、羨ましくなる。

このそれぞれのお店がとっても心地良い空間で、とても良い本屋さんだったということはもちろんなんだけど、今日はそこではなくて、その時々に気になる本の話。

ひとが本屋に入り、ふと手に取る本というのには、いろんな要素が絡み合ってその人の手の中に入っていくのだと思う。

店側がどう本を並べるのか、おすすめの書き方なんかもある。

でも、「あの時あの人が話してた本だ・・・」とか、「最近あの人と話してて、私も最近気になり出した分野だから」とか、そんな風にして、日々の生活の中で誰かが誰かに影響されて、いつの間にかその人の脳内にインプットされている要因が作用する瞬間がある。

私自身、今回高松に出かけて、LunugangaさんやYomsさんで手に取った本には、直近の2年間で出会ったアジアの女の子たち、5月のイベント期間中に聞いた海外の旅の話が影響している。

私がひとの話やひとの人生に影響されやすい性格というのもあるとは思うのだけど、そうやって、自分の考えや興味だけで本を選んでいくのではなくて、誰かの言葉や人生が影響して手に取ることがある、手に取りたくなる、という本の世界は面白い。もちろん、それは本の世界に限った話ではないのはもちろんで。


いつか自分の本屋さんが持てたとして、どんな本屋さんにしようかな・・・ということを今ものすごく考える。「私がおすすめする本!」「私の選書、どや!」、そんなふうなことももちろん主張したくなるし、その本たちを誰かが選んでくれたらすごく嬉しいのだけれど、誰かの日常の中で起こっている出来事と本とがふと、私の本屋の中で噛み合う瞬間。絡み合う瞬間。

それってとっても嬉しいことだなと思う。それに、そんな瞬間が生み出せたら最高だなとも思う。

人と関わった分だけ、気になる本は変わっていくし、それは自分がいろんな人の考え方や世界をちゃんと受け入れている証拠な気がして。歳を重ねるごとに、誰かの人生や考えを受け入れられる、そんな風に柔軟な部分がいまだに増えていて嬉しい。それを感じ取れる本の世界が、楽しい。

「ASIA ROAD」は技能実習生たちとの出会いの影響、
「地上に星座をつくる」や「山からの絵本」は旅のお話の影響で手にした。
この3冊はLunugangaさんで選んだもの。
「青の国、うたの国」はネットで買おうか迷っていたもの。
気になっていた本が書店にあった瞬間って、小さな喜び。


*今でもこうして、離れた場所にいても私のことを気遣って、自分の作ってきたコミュニティや人脈を広げようと、"おすそ分け"してくれる彼女(前職でお世話になった知人)。ありがたいなぁと思う。そんなひとには、いつだって、どこにいたって、会いに行きたい。

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