烏の郵便

夕暮れ時には言葉を失くした烏の羅列が飛び交う空だな。
私はあたかもその中の一羽のように振る舞う。
振る舞う、振る舞う!

飛ぶ!

行方も知らずに漂う中空。宛先も切手もない手紙のよう。
心は自由で、想いは自由で、消印だなんて、
いらない、いらない?

飛ぶ。

空から見ていた。あなたを見ていた。見ているだけで言葉はなかった。
烏の一羽がカァと鳴いたとき、烏にも言葉があると想った。
私には、ない。


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