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2023年7月23日 『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』

T.K.さん

ご無沙汰してます。夏カゼ引いたとのことですが、お大事にしてくださいね。冷房のつけすぎにはご注意ください。
私は、先日の東北旅行で買いだめした本を読みつつ、週末のフジロックに向けて体力をつけるため、熱心に散歩したりして過ごしてます。

書評を書くにあたり、自分に寄り添う杖のような本を選ぼうかと思ったのですが、それを書くには時間と気合が必要そうだったので、まずはライトに、最近読んだ本について書こうと思います。

この前の土曜、散歩中に「在野の研究者」という言葉をふと思い出し、手元のスマホでググってみました(ググるももうすぐ死語になるんですかね)
検索結果に出てきたのは「エリック・ホッファー」(以後敬称略)。
なんだか気になってしまい、次の日の朝電車に乗って、図書館まで『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』を借りに行きました。

読んでみて、ホッファーの生き方がとにかくかっこいい。

ホッファーは、生まれた時に目が見えず、その影響で全く学校教育を受けたことがない。15歳になって奇跡的に目が見えるようになるものの、18歳までに両親を亡くし、天涯孤独。その後は自殺未遂もありつつ、全米中を放浪。季節労働者や港湾労働者として、数十年間肉体労働に従事しつつ、絶え間ない読書や自己内省によって、独自の思想を作り上げたという人です。

この自伝には、全米中を放浪し働く中で起こった出来事、得た気づきが書き留められており、その新鮮な視点ひとつひとつに深く感心させられるような本となっています。

このホッファーの自伝を読んで自分を振り返ると、自分自身が地位に対する劣等感を持っていることに気づきました。
私は、幸運にも(?)大きな挫折なく、そこそこの大学、まあまあ大きな会社に入ることができたのですが、結果として、社会が敷いたレールから外れてしまうことを恐れたり、世間的に優れた会社への劣等感を感じるようになってしまっていました。心のどこかで、地位や権威を気にする嫌な人間になってしまっていたんですね。

そんな自分にホッファーが伝えてくれたのは「そんなの関係ねえ」ということ。
ホッファーは、どんな状況にあっても、人生を受け入れ、淡々と学び続ける。
その生き方を通じて、「権威に寄らず、自分自身で考え、知性を磨き続けて生きること」の大切さを示してくれているように思います。

巻末のインタビューで「有意義な人生とは、学習する人生である」と語るホッファー。
道に迷う時「考え、学び続けなさい」と問いかけてくれる、そんな本に出会えたのかなと思います。

なんだか私も自分語りしてしまいましたが、どう思いましたでしょうか?書評というか、本を通じて自分を見つめ直したいのかもしれませんね。。

あまり本のことに触れられませんでしたが、ホッファーの書く文章は生き生きとしていて、読み物としても非常に楽しめるので、また機会があれば読んでみてくださいね。

良い夏をお過ごしください。

やまより


p.s. 写真はこの前現像した長崎小浜の海です。次はホッファーの『波止場日記』でも読もうかなーと思います。


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