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〜木村泰子先生をzoomで囲む会に参加して〜

今回、税所篤快さんの新書「未来の学校のつくりかた」の出版記念にディスカッションメンバーとして参加。今から綴るのは、投げかけた2つの質問と木村先生のお話(オフ会含む)を踏まえた私なりの感想なので、「木村先生どんな話してたの?」といった内容は下記やRECを参照いただきたい。また、未来の学校のつくりかたには木村先生以外のエピソードもふんだんに盛り込まれ、めちゃくちゃ熱量を得るものであった。少しでも多くの人に届いてほしい一冊であることも強くプッシュしておきたい。

<木村先生のプレゼン>
https://youtu.be/AffkAZwUcdc
<未来の学校のつくりかた>
https://www.amazon.co.jp/未来の学校のつくりかた-5つの教育現場を訪ねて、僕が考えたこと-税所篤快/dp/4865605231/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=19PLAEP5AJOB3&dchild=1&keywords=未来の学校のつくりかた&qid=1588582215&sprefix=未来の学校の%2Caps%2C277&sr=8-1

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今回まず私は、「やり直し」というキーワードに質問してみた。

教師が「やり直す」という行動まで果たしてたどり着くことができるの?と思ったからだ。

少し私の認識について。
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「やり直す」ためには、気づかなければならない。
「気づく」ためには、比較や失敗など、「想定外」と出会い自覚しなければならない。

『想定外』と出会い、自覚をするための仕組みが多くの学校現場にはないのではないか」そう認識している。

授業の多くはこうでないだろうか。
「与えられた時間で、与えられた課題を、与えられたやり方で、既にある答えを導く」授業。

行事だって、前年度踏襲し例年通りに。

「別のやり方の方が良かったんじゃない?」「子どもにとってこんな方法がより良くない?」に向き合う場面や必要性を痛感する場面って圧倒的に少ない。これが多くの学校のリアルで、日常の中から想定外を排除しているといってもいい。

授業改善の視点は、
うまく説明できるかや、自身が思う最適なやり方、スムーズに進めるための規律。

主語は大人であって子どもではない。

そんな視点では、「やり直す」という言葉が木村先生の意図する意味として浸透しないのではないかと感じたのだ。
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話を戻そう。

これに対する1つのアンサーが、大空小の「ふれあい科」の授業である。

ふれあい科は1年〜6年までの全クラスの数字を記したテニスボールを箱に入れ、それを校長も含む教員が一つずつ引き、書かれていたクラスで1時間の授業をする、という企画だ。(未来の学校のつくりかたより抜粋)

一瞬にして学級王国や学年セクトといった閉じられたコミュニティから外に出され、規律も関係もないところに丸投げされる。想定外の中に引きずり込まれ、言い方は悪いが教員たちは多くの比較を子どもたちにされることになる。否が応でも他者との比較の中に身をおき、対話を通じて目的のすり合わせを行わなければならない。そんな木村先生の仕掛けの中で教師は見事に対話を通じた「やり直し」のサイクルに身を投じることとなるのである。

これはもちろん、子どもたちのための取り組みなのだが、教員に対しても大きな「やり直し」力を育む企画だと感じた。大空小が大空小であるための基盤なのだと理解した。


もうひとつ「雑談」について触れてみた。

これも「子どもを主語に」した雑談でなければ意図する意味とならないし、課題を共有していない教職員で雑談したって、「あなたの学級ではそうだと思うけど」と当事者意識を持った意見交換とならず成立しないケースだってある。雑談にもファシリテーションが必要なのではないかと思ったからだ。

当事者意識を持つためには、課題を共有しなければならない。

「ふれあい科」はそんな意味でも全教員が「子どもたちみんな」を意識する効果があるのだと感じた。なぜなら全教員が全クラスの子どもたちと向き合う仕組みなのだから。この環境下での「雑談」は、学校どうするか、ひいては子どもたちを6年間でどう育てていこうかという課題と目的を全教員が共有する仕組みとなり得ているのであると思う。

だから大空小の「雑談」はこれからを生み出すツールであり、「やり直し」はブラッシュアップの仕組みとして成立するのだと確信した。


・子どもたちが色んな他者と関わりを持つことができるように複数担任制を導入。
・多様な先生から学べるようタテ持ち型編成を導入。
・子どもたちによりよいフィードバックを伝えるために単元テストを導入。
・ペーパーテストだけで図ることのできない力を「しんたつ11のスキル」と定義。
・身につけてほしい力を磨くためのPBL学習「勝手にサテライト」の実施。

子どもを主語に整えればやり方は従来の方法から外れてくる。自校の実践も方向性は間違っていないと思えたのも大きな収穫だ。

第二の大空小をつくるなんてことは考えず、目的だけ共有する。

しんたつスタイルを確立したい気持ちを再認識できた。

「すべての子どもたちの学習権を保障するために。」

正解はないのだから。



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