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お盆を迎える準備

岐阜の木工所、株式会社やまもくのnote編集部です。

一年に一度、ご先祖様が私たちの元へ帰ってくるお盆がまもなくやってきますが、今回はお盆を迎える準備について、書いていきたいと思います。

故人が迷わず帰ってこれるよう、お盆の期間には提灯を仏壇のそばに飾り、灯りを灯してお迎えする風習がありますが、やまもくのある岐阜は盆提灯の産地でもあります。
提灯の素材となる竹と和紙の産地であったことから、江戸時代より盛んに岐阜では提灯が製造されてきました。
岐阜提灯として、平成7年には伝統的工芸品に指定され、今もなお職人の方々の手作業により、いくつもの工程を経て制作されています。

故人の好きだった色合いや絵柄の提灯で部屋や仏壇を飾り、ゆっくりとお盆の期間を過ごしてもらえるよう、おもてなしの気持ちを持って、故人を迎える準備をする。
こうしたお盆の準備を行う時間は、遺された私たちを癒してくれる優しい時間のように思います。
日本ならではのおもてなしの文化も、家庭の中で自然と行われていたこうした風習が次の世代へと引き継がれながら、醸成されていったのかもしれません。

大きな仏壇がなくとも、お盆を迎えるにあたり、こうした故人へのおもてなしは十分にできるように思います。
岐阜提灯も、小さな仏壇や手許供養のスタイルにも合うサイズのものが制作されているようでした。
こちらの岐阜提灯協同組合のサイトでは、コンパクトなサイズの提灯のイメージや、岐阜提灯の成り立ち、選び方などが、岐阜提灯に対する想いとともに紹介されていますので、ぜひ参考にされてみてください。


お盆の風習は地域によってさまざまかと思います。
このnote編集部をつとめる私は、長崎の出身で大学で上京するまで、長崎で暮らし、祖父母もすぐ近くに住んでいました。
お盆には暗くなる頃に合わせてお墓参りに行き、家紋の入った提灯をいくつもお墓に飾り、お盆の期間中、毎日盛大にお墓の前で花火をする。
8月15日、お墓から帰った後は、精霊船のお迎えを待ち、故人の好きな食べ物などを持たせ、爆竹を鳴らしながら見送る。

賑やかさと寂しさが入り混じるお盆という特別な、そしてみんなが優しい気持ちでいる時間を毎年過ごさせてもらいました。

家族の形も変わり、コロナもあって帰省もしづらく、昔のような形で親戚中が集まってお盆を賑やかに過ごす風景は、今後はなかなかないのかもしれません。
昔のようにできないことを寂しく感じることもありますが、そこにあった、故人をもてなす優しい時間は、今の私たちに合う違った形で作れるように思っています。
自分がやってもらっていたように、今度は自分の子供たちと一緒にお盆を迎える準備をする。
そんなことを今年の夏はやってみようと、今回のnoteを通して幼少期のお盆の思い出を振り返りながら思いました。

やまもくでは、生活のスタイルにあった形で故人を偲ぶことができるよう、これまで額縁の制作で培ってきた技術を活かして、コンパクトな壁掛け仏壇の制作に取り組んでいます。
こうした場を生活の中につくることも、私たちに優しい時間をもたらしてくれると思っています。
詳しくはこちらのnoteで綴っていますので、読んでもらえると嬉しいです!

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