さあちゃんへ (1989年冬)
さあちゃん
さあちゃんがうまれた日の夜
ママはなんだか眠れなくて
病院の小さな窓から
夜の空を眺めていました
外は、冷たい1月だから
おつきさまも
おほしさまも
でんしんばしらも
かちんかちんに凍りつきそうな
そんな夜だったけど
ママはなんだかあったかくて
ぽかぽかしていて
そのうえすごくどきどきしていて
この不思議な気持ちはなんだろう、って
となりで眠っているさあちゃんに
たずねてみたりしたのだけれど
すやすや眠ってばっかりのさあちゃんは
なんにもおしえてくれない