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アメリカの友人とのひとときを台北で

台北は東京からみれば春のようにうららかです。

たった今打ち合わせを終えて、帰国便に乗るために松山空港(台北)に着いてラウンジで一息です。

この写真の人、出身はアフリカの東海岸にある小さな国エリトリアです。隣国は動乱のソマリア。エリトリアも政情が不安定で、難民の認定を受けた彼ば紆余曲折のあとソマリアのパスポートでサウジアラビアへ。そして35年前にアメリカに渡りました。

今、彼はアメリカの市民権をもってシアトルの郊外ベルビューBellevueに住んでいます。そして、彼は私の大切なビジネスパートナーの一人です。ベトナムと台湾に出張する彼に合流してあるプロジェクトについて話し合うために、台北にやってきました。

彼は敬虔なイスラム教徒です。最近息子がパキスタンの女性と結婚し、新婦もアメリカにやってきました。彼の住む地域では、40%以上の人が海外で生まれています。

ベルビューといえば、すぐそばにマイクロソフトの本社があります。社内を歩けばそんな海外出身の人がたくさん働いていることがよくわかります。世界の知恵が集まるこの地域だからこそ、マイクロソフトは成長できました。

だから今、彼は移民への風当たりが厳しくなり、イスラム教徒への偏見が助長されるような風潮がアメリカに広がっていることに、心を痛めているはずです。アメリカの一般の人が、いかに海外の文化などに無知なのか驚かされると彼はいいます。その無知が偏見の原因なのだとも。

私はふと、では日本はどうなのかなと思いました。移民を受け入れることにかけて後進国の日本の閉鎖的な環境の中で育った我々の、世界への無知はどの程度なのかと。

彼はアメリカの大統領選挙の結果や偏見を持つ人を批判します。そして、そんな彼も今ではアメリカ人です。彼のような人が常にアメリカに供給され、社会を進化させてゆく中で、人々が乗り越えないと悪い摩擦や軋轢もあるはずです。しかし、それを意識しているだけ、まだアメリカは成長できるのではないでしょうか。

4時間の打ち合わせ。いつもながら、彼はレストランの食事もハラールフードがあるか気にします。だからこちらも気を使います。しかし、そんな多様な文化を経験できることは楽しいことです。

クリスマスの飾りつけの終えた台湾のホテルのロビーで、彼は言います。アメリカに住んでいればクリスマスは祝わないけど、休暇はとれる。帰ったら、家族と過ごす一週間だと。

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