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日本は民主主義国家?報道の自由のランキングが著しく低下

【海外ニュース】

Japan slipped further down the global ranking for press freedom last year, according to international watchdog Reporters Without Borders, which cited Tokyo’s recently implemented secrets law as a possible threat to Japan’s media activities.

訳:日本は国際監視団として知られる国境なき記者団による報道の自由度を示す世界ランキングでさらに順位を下げる。特定機密保持法の制定による日本の報道の自由への制限が懸念される。

(ウォールストリート・ジャーナルより)

【ニュース解説】

国境なき記者団 Reporters Without Borders という、世界での報道の自由の擁護し、ジャーナリストの人権を守る活動をしている国際団体があることをご存知でしょうか。

世界の著名な団体や、フランス政府なども支援している国際的な非政府組織で、1985年に設立されました。

国境なき記者団は、毎年世界各国での報道の自由の状況を査定して、そのランキングを発表しています。

それによれば、2015年には、日本は世界180カ国中61位と低迷しています。

もともと日本は言論の自由という意味では世界有数の先進国といわれていました。しかし、2010年の11位を最高に、そのランキングが年々降下を続けているのです。

なぜでしょう。

ウォールストリート・ジャーナルなどによれば、特定機密保護法の制定によって、国家機密への報道の壁が厚くなったことが直接の原因だとされています。

加えて東日本大震災の時点での原発事故への政府のマスコミ対応のまずさなども指摘されます。

確かにあのとき、日本国内よりもアメリカなど海外のほうが的確な情報に触れることができたことを、私も実体験したものでした。

我々は、日本は民主的な先進国だと信じています。

しかし、国境なき記者団などの活動は、日本が次第に言論が統制される国家に逆戻りしつつあることを警告しているのです。

もちろん、それは日本だけに限ったことではありません。同組織は、アメリカでのインターネットへの検閲などに対しても厳しい指摘をしています。

ちなみに、アメリカは49位。近隣諸国では、台湾が51位、韓国が60位。言論統制と人権の問題が常に指摘される中国は176位。北朝鮮は最下位から2番目でした。

逆に、常にランニングの上位には北欧諸国やオランダ、オーストリア、カナダなどが名を連ねています。同組織の発祥の地でもあるフランスは38位でした。

報道の自由は、我々が絶対に見落としてはならない大切な権利です。

報道の自由とは得てしてマスコミの権利だけを指しているかのように思われがちですが、個人が自らの意見を自由に表明する権利もこの中に含まれることはいうまでもありません。

多数の人の無言の圧力や、組織の力によって個人の意思表示がはばかられる状況がないかどうかも我々は監視しなければなりません。

例えば、大手マスコミによる言論誘導の事例などへのモニターも必要です。

政府とマスコミが人的に癒着していないかといったチェックも忘れてはなりません。

もちろん、政府関係者のマスコミの報道を威嚇する発言などへの厳しい対応も必須です。

というのも、行政上の権力を握る者は言論誘導を有利に導く力を持っているからです。

高市早苗総務大臣のマスコミの活動への政府の介入を示唆するような発言への追求などをみるとき、確かに日本の報道の自由を求めるパワーの低下を実感します。

また、東日本大震災の折に、無言の圧力でテレビなどでのコマーシャル活動が自粛されたことなども、我々はしっかりと見つめなければなりません。

個々の判断より、集団の圧力が優先されていなかったか、改めて検証する必要があるのです。

現在、世界を騒がせているパナマ文書。

パナマの法律事務所が管理していたオフショア(海外からの投資や資金運用を受け入れる金融機関)の情報がリークされ、ジャーナリストの手に渡ったことで、世界中の要人の金融機関への関与が暴露されかねない事態に至っていることは周知の事実です。

以前、話題となったウイキリークスの活動など、こうした機密情報がどこまで報道制限なく人々の「知る権利」として公にできるのかをめぐり、常に国家とメディアとで綱引きが行われています。

また、フランスやベルギーでのテロ事件などへの防衛策から、警察活動と情報統制とのバランスも議論されています。

これら、世界に共通した課題と、国家という権力を持つ者との力関係はどうなっているか。

さらに市民の世論が一つの方向に傾斜したときに、個人や少数派が反論できる権利がしっかりと保全されているか。

マスコミ機関の財政上、人事上の独立は保たれているのか。国境なき記者団の指摘するバロメータを、我々は率直に見つめてゆく必要があるのです。

2016.4.12

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