「エレクトリックボルタ!」3話

〇病院
   病室で体中に包帯を巻いて寝ている浅原。
   目を覚ます浅原。
浅原「ここは?」
   体を起こそうとすると体に電流のような痛みが走る。
准の声「お?おきたか?」
   准が入ってくる。
   横になる浅原。
   ボロボロのボルタドライバーを手にする准。
浅原「すいません」
准「こいつを直すのは俺じゃ無理だなぁ」
   ため息をつく准。パルコが入ってくる。
パルコ「お兄ちゃん!」
浅原「良かったぁ!無事だったんだね」
准「敵も退いてくれたよ。なんとかなったって感じだな」
パルコ「僕のせいで」
浅原「君のせいじゃないさ。悪いのはヴィーゼル団って奴等さ」
准「そういうこった。君は早くお母さんやお父さんとこに戻るこったな」
パルコ「うん」
   去っていくパルコ。
准「お前を休ませてやりたいがそうもいかなさそうだ」
浅原「どうしたんですか?」
准「こいつ(ボルタドライバー)を直さないとな。今回の事で少し気になることもできたしな」
浅原「気になる事、ですか」
   ×××
   体を動かしている浅原。ボルタドライバーを見つめる准。
浅原「結構体動くようになってきました」
准「じゃあ、服着ろ。行くぞ」
浅原「はい、ってどこへ?」
准「俺のいた地球だ」
 
〇准のいた地球(夜)
   浅原と准が辿り着く。
浅原「すごい。あのエレクトリックボルタの世界そのものだ」
准「そりゃ俺のいた世界だからな」
浅原「ボルタドライバーを直すって事は!もしかして!」
 
〇ボルター・エレクトロ工房・内(夜)
   ボルター・エレクトロ(58)が浅原と准を出迎える。
准「お久しぶり!博士!」
ボルター「准!一体どうして!」
浅原「本物のボルター・エレクトロ!」
准「まぁ積もる話はおいおい。とりあえずこいつを直して欲しいんだよね」
   ボロボロのボルタドライバーをボルターに渡す准。
ボルター「随分派手にやってくれたな准」
准「正しくは俺じゃないんだよな」
浅原「すいません!」
   頭を下げる浅原。
ボルター「なるほどな」
   ×××
   ボルターが修理するところを見守る浅原と准。
ボルター「こんな使い方してるようじゃ、まだまだだな」
浅原「すいません」
ボルター「気にするな」
准「で、どれだけで直せそう?」
ボルター「今取り掛かってるから丸1日はかかるな」
准「遅いな。半日で。じゃないと奴らを追えない」
ボルター「無茶を言う」
   笑うボルター。
准「博士なら出来るでしょ?」
ボルター「分かった半日だな。努力はしよう」
准「博士!」
   感激する准。
ボルター「好きなところ行ってこい」
准「だってさ。どっか行きたい所ある?」
浅原「そりゃ勿論!たくさんありますよ!10話の丘とか28話の採石場とか!」
准「馬鹿!そんなところ行って何が楽しいんだよ!」
浅原「そりゃエレクトリックボルタが戦った所は行きたいでしょ!」
准「ちょいちょい忘れがちだったけどお前俺のオタクだったな」
浅原「だから!行きましょう!」
准「なんでそんないちいち自分の聖地巡礼せんと行かんのだ!」
浅原「ん?」
   Ⅴと書かれた戦闘員の姿を見つける准と浅原。
浅原「あれって」
准「ああ、悪い予感が的中しちまったな」
浅原「悪い予感、ですか」
   
〇大通り(夜)
   戦闘員を倒す浅原と准。
准「あいつがこの地球に来てるってことだとは思いたくないが」
浅原「あいつ?」
准「俺が救えなかった命」
浅原「それってどういう?」
准「いずれ話すよ。なんかこうパーッとしたい気持ちになってきたな」
浅原「どっか行くんですか?」
准「純粋な人しか入れない大人の社交場だ」
 
〇ガールズバー「バニークラブ」・内(夜)
   裕子(25)をはじめとしてバニーガールのお姉さんが接客してる。
   准と浅原が入ってくる。
裕子「あら、准ちゃん」
准「お姉ちゃん~会いたかったよ~」
   准、裕子に抱き着く。
   ドン引きする浅原。
浅原「なんですかここ」
准「お前ガールズバー知らねえのか」
浅原「いやまぁ名前くらいは」
准「紳士の憩いの場なんだよ」
浅原「こんなシーン、エレクトリックボルタには無かった!」
准「子供向け番組でこんなシーン流せるかよ、お姉ちゃん、おっぱい」
   裕子にパフパフする准。
裕子「私ちょっと酔いたくなって来ちゃった」
准「はい」
   准、裕子の胸の谷間に千円札を2枚挟む。
准「お姉ちゃん、俺のも頼む」
裕子「准ちゃんビールだったわよね。可愛い」
   にっこり微笑む裕子。
准「可愛いって言葉好き。お姉ちゃんとお姉ちゃんのおっぱいも好き」
裕子「准ちゃんはいつまでも赤ちゃんでちゅね~」
准「僕、赤ちゃん」
裕子「赤ちゃんにはこれ」
   裕子、准におしゃぶりをする。
   きゃっきゃする准。
浅原「准さんの方が年上じゃないですか!お姉ちゃんなんておかしいですよ!」
   おしゃぶりを外す准。
准「分かってないのは無いのはお前だ!年下のお姉ちゃんはいるんだよ!」
浅原「何言ってんすか!」
准「お姉ちゃん!」
   准、裕子におっぱいを顔に埋める。
   ×××
浅原「こんな准さん、准さんじゃない!バカヤロー!」
   出ていく浅原。
 
〇ボルター・エレクトロ工房・内(夜)
   浅原とボルターがいる。ボルターはボルタドライバーを修理している。
ボルター「あいつ昔からあんなだったよ。まぁファンならそうかもな」
浅原「それも昔からだったなんて」
ボルター「あいつが笑った所見た事あるか?」
   浅原、思い返すが中々思い出せない。
浅原「確かにあんまりないですね」
ボルター「それ位大真面目な奴がさ、笑ったんだ。敵と決着付けた時さ。平
 和ってものをようやく手の出来た時のアイツの顔は忘れられないよ」
浅原「そうですか」
ボルター「そしてあいつは旅立った。新たな戦いへと。だからさ、ここに帰
 ってきた時くらい目いっぱいの笑顔を見せてやりたいんだよ」
浅原「俺間違ってたかもしれません。謝ってきます」
   爆発音。
浅原「ドライバー、使えますよね?」
ボルター「調整はした。全力はまだだがな」
 
〇ガールズバー「バニークラブ」・内(夜)
   准と裕子が酒を飲んでいちゃついてる。
   爆発音。
   ×××
   ズボンをはいている准。
裕子「生きて帰ってきてね」
准「ああ、ヒーローはhとeroで出来てるからな」
   ジャケットを着て、飛び出す准。
 
〇大通り(夜)
   爆発したビルが燃えている。
   複数名の戦闘員がいる。
   浅原が辿り着く。
浅原「これ以上やらせるわけには!」
   戦闘員と戦闘に入る浅原。
   ジョナサン(20)が現れる。
ジョナサン「ほう、やるじゃいか」
浅原「君は?」
ジョナサン「俺はジョナサン、まあ覚えておいて損はない」
   ジョナサンも加勢し、戦闘員を蹴散らす。
浅原「すごいな」
   准がバイク、エレクトリックストライカーでやってくる。
准「大丈夫か、ってお前!」
   准の表情が怒りの表情に変わる。
浅原「准さん?」
准「そいつから離れろ。そいつこそが救えなかった命で、悪に身を落とした
 外道だ」
ジョナサン「この世界に戻ってきてたのか」
 
〇回想ジョナサンの家の中(夜)
   火災の中、怪物がジョナサンの両親を殺害している。
ジョナサン(10)「父さん!母さん!」
   エレクトリックボルタ(准)が現れる。
   怪物を一蹴するボルタ。
エレクトリックボルタ「早くこっちへ!」
   ジョナサンを外に連れ出すボルタ。
 
〇ジョナサンの家の外(夜)
ボルタ「大丈夫かい?」
ジョナサン「なんで!なんで父さんと母さんを助けてくれなかったんだ
 よ!」
ボルタ「え?」
ジョナサン「あんたがもっと早く来てくれてさえいれば父さんも母さんも死
 なずに済んだんだ!俺はお前を許さない!」
〇回想終了
 
〇大通り(夜)
   浅原と准とジョナサンが立っている。
浅原「だから准さんは俺たちは神ではないって」
准「お前は俺が殺す。闇に落ちたお前を止められるのは俺だけだ」
   ジョナサン、笑う。
ジョナサン「なら救って見せろよぉ!」
   ジョナサンの腕の中に5歳くらいの少年がいる。
浅原「いつの間に!」
准「お前!」
ジョナサン「日本のヒーロー番組も最近は悪役をヴィランというらしいな。
 なら俺はそれだ。それも最上のな」
   5歳児に鋭い爪を立てるジョナサン。
浅原「その子は関係ない!そして戦う事ならどこでだってできる!なんだっ
 こんな所で!」
ジョナサン「お前、面白いな。気に入ったよ」
   鋭い爪で子供を突き刺すジョナサン。そこらへんに捨てられる子供。
浅原「殺したのか?なんで」
ジョナサン「飽きたからな。お前がおもちゃ替わりになると思ってな」
浅原「お前、ヴィランじゃないのか?ヴィランがなんで?」
   笑うジョナサン。
ジョナサン「俺はヴィランだ。だが違う。お子様ヒーロー番組に出てくるよ
 うな都合のいいヴィランじゃない。気に入らなければ女も子供も老人だっ
 て殺す。漫画や特撮ヒーロー番組とは違うんだよ!これは現実なんだ
 よ!」
浅原「お前に、お前に人の心はないのか!」
ジョナサン「10年前になぁ!」
浅原「准さん、俺、行きます!」
   ボルタドライバーを取り出す浅原。
ジョナサン「なんでお前が!いや、そういうことか!殺しがいがあるという
 もの!」
浅原「チェンジ!ボルタ!」
   エレクトリックボルタに変身する浅原。
ジョナサン「外装」
   黒い鎧をまとうジョナサン。
ボルタ「お前は!お前だけは!」
ジョナサン「怒れよ!ヒーロー!」
   戦闘に入るボルタとジョナサン。
   ジョナサン、ボルタの頭部を触る。
ジョナサン「ほう」
   ブラックホールを発生させるジョナサン。
吸い込まれていく二人。
 
〇浅原がいた地球(朝)
   浅原とジョナサンが到着する。
浅原「ここは?」
ジョナサン「お前のいた地球さ、さあ始めようじゃないか、パーティタイムを!」

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#創作大賞2024

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