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「解剖室に潜入、そして科博のレジェンドを訪ねる!」田島木綿子さんとめぐる国立科学博物館ツアー♪
2021年7月に発刊した『海獣学者、クジラを解剖する。』の続々重版を記念して、著者である田島木綿子さんに国立科学博物館の標本庫(普段は未公開)を案内していただきました。
最終回は、解剖室に潜入するとともに、本に登場していただいた科博のレジェンド達を訪ねます。
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国立科学博物館の巨大な標本庫を案内していただき、クジラの巨大な骨格標本から、海獣たちの体内に棲息する寄生虫まで、貴重な標本をたっぷり堪能した後は、いよいよ解剖室に向かいます。
前2回の記事は、下記からご覧ください。
◎前編
◎後編
施設の地下1階にあるその部屋に近づくと、心なしか空気がひんやりと感じられます。
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解剖室前の廊下には、ずら~~~っと完成前の剥製や骨格標本が並んでいます!
乾燥中の状態とのこと。大きな扇風機をブンブン回しているのは、空気を循環させるためなのですね。
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いよいよ解剖室に足を踏み入れます。
最初に目に飛び込んできたのが山積みのポリバケツ……。
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『海獣学者、クジラを解剖する。』の1章では、剥製や骨格標本を作る様子が紹介されています。剥製をつくるには、最初に海獣の死体から被毛を剥き、剥いた被毛に粗塩や岩塩をまんべんなくまぶして十分に脱水させます。その後、ミョウバン液に浸けこみます。
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こんな感じに、ミョウバン液の中に被毛が浸かっていました。1週間ほど浸けこみ、被毛の柔軟性を保ちます。
時間も手間もかかる作業なのだと、実感します。
解剖室の中央には、解剖を行うための大きな台があります。
あっ、陸の哺乳類の研究をされている川田伸一郎さんが作業をされています!
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お腹のあたりを縫合されているようですが、それは何の動物でしょうか?
「あ、これ? テンです」(川田さん)
テン!
『海獣学者、クジラを解剖する。』では、皮剥きのし過ぎでいわゆる「テニス肘」と病院で診断されてしまった同僚、としても登場されています。レゲエが流れるなか、黙々と仕事を続けられていました。
そして、部屋の左側に置かれた巨大な機械。
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これが、解剖した後の骨を投入し、何日もかけて煮るという……体長5メートル前後のクジラも煮ることができるという……特注の巨大な「晒骨機(せいこつき)」です!
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「ちょっと、なべ開けてみましょうか」(田島さん)
え! よろしいのでしょうか。
「今日はそんなに臭くないほうなんで、大丈夫だと思います」(田島さん)
そんなに臭くないほう……!?
なべの蓋がゆっくり開くと、もうもうと湯気が上がるとともに独特のにおいが立ち込めます。
フライヤーみたいな網かごに入った、たくさんの骨が見えました。
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愛おしそうに、骨をつまんで見せてくれる田島さん。
このとき煮ていた骨は、スナメリ、サラワクイルカなど。そのほか、北海道でストランディングした個体もありました。
途中、汚れた水を変えて、高圧洗浄機で骨についた肉を洗い落とし、再び煮て、トータル3週間ほど煮続けたものだそう。骨を煮終わると、廊下で乾かして、収蔵庫に保管します。
間近で見た骨は、乳白色でとてもきれいでした。
さらに解剖室の奥に進むと、巨大な冷凍庫が設置されています。
温度が下がらないよう気を付けながら、中を見せていただきました。
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なんと、スナメリだけで40頭が冷凍されているとのこと。
「最近、15頭くらいを解剖したところなんですけどね。すぐたまっちゃうんです」(田島さん)
ということは、もともと50頭以上のスナメリがあったという…。1頭のスナメリを解剖する手間を思えば、時間がいくらあっても足りないのだと想像がつきます。
あっ! 山田格先生がいらっしゃいました。
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本書のコラムで「絶滅危惧の解剖学者」と紹介されていた、海獣研究の第一人者です。東京大学理学部人類学研究室を卒業後、15年にわたって医学部で肉眼解剖学を教えてこられたスペシャリストでもあります。
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名残惜しくも解剖室を後にして、次に会いにいくのは、もう一人のレジェンド……!
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渡邊芳美さんです!
一流の標本職人であり、凄腕の画伯でもあります。この日も忙しく作業されていたところ、少しお邪魔して、田島さんとツーショットを撮らせていただきました!
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博物館の裏側には、外からはうかがいしれない本当に多くの方が、さまざまな仕事を担って働いている――そんなことも本書で紹介しています。
解剖室内のようすは一部、動画でも紹介しています。
国立科学博物館のみなさま、本当にありがとうございました。