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「ヤマケイの本」全文公開

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記事一覧

狼を連れて銀座を散歩し、自宅の庭でハイエナを飼う…「すごい犬奇人」の生涯

 戦前から戦後にかけて、狼をはじめとするイヌ科動物を独学で研究し、雑誌『動物文学』を立ち上げた平岩米吉という人物がいた。  平岩米吉は、動物行動学の父といわれるコンラッド・ローレンツより先に、自宅の庭で犬、狼、ジャッカル、狐、ハイエナと暮らして彼らの生態を研究し、フィラリア撲滅のために私財と心血を注いだ。さらに『動物文学』にて、「シートン動物記」「バンビ」を初めて日本に紹介している。  偉大な奇人、平岩米吉を紹介したノンフィクション『愛犬王 平岩米吉』片野ゆか(山と溪谷社

探検家の角幡唯介氏が復刊を熱望していた動物文学の名著。吹雪の夜に迷い込んできた山犬の仔は、過酷な北海道の原野を生き抜き、山奥へと消えた――人間、犬、熊…生と死がせめぎ合う驚愕の実話。

 長きにわたって絶版、入手困難な状況が続いていた伝説の名著『アラシ』(今野保:著)がヤマケイ文庫にて復刊。探検家・作家の角幡唯介氏が絶賛し、復刊を熱望していた一冊だ。  川で溺れかかった今野少年を救ったクロ(Ⅰ)。嵐の夜に迷い込んできた山犬・アラシとの絆と野生の掟に従い訪れる別れ(Ⅱ)。大熊をも倒したという勇猛果敢なタキの話(Ⅲ)。人と驚くほど意思を通じ合わせることのできたノンコのこと(Ⅳ)。  北海道の美しく過酷な大自然の中で、犬と人間との間に刻まれる4つの実話。本作

「アフリカのハイエナの子がいるのですが…」 愛犬王の妻・佐與子と”へー坊”の運命的な出会いと、絆のはなし

 「アフリカのハイエナの子がいるのですが、見にいらっしゃいませんか?」  世にも珍しい異国の動物、”へー坊”との出会いは、平岩家にかかってきた一本の電話が始まりでした――。  戦前から戦後にかけて、狼をはじめとするイヌ科動物を独学で研究し、雑誌『動物文学』を立ち上げた平岩米吉という人物がいました。  動物行動学の父・ローレンツに先駆けて自宅の庭で犬、狼、ジャッカル、狐、ハイエナと暮らしながら動物を徹底的に観察。「シートン動物記」「バンビ」といった動物文学を初めて日本に紹介し

身近な鳥の「へぇ〜」がいっぱい! 『エナガの重さはワンコイン 身近な鳥の魅力発見事典』|冒頭と「街の鳥」パートを無料公開!

「さえずりが止まらない 毎日2000回」 ウグイス 「国立競技場でも席が足らない」 アトリ 「翼を広げたら改札2つ分が通れない」 アオサギ 『エナガの重さはワンコイン 身近な鳥の魅力発見事典』(くますけ著)は、「へぇ!」と唸らされ思わず人に話したくなるような、身近な鳥の知られざる魅力をたのしく紹介した一冊です。 5月10日からはじまる「バードウィーク」に向けて、より多くの人に身近な鳥・自然と親しんでいただきたく、冒頭と第1章の「街の鳥」を特別に公開いたします。 はじめに

食洗機から泡が吹きだして止まらない!途方に暮れた私を救った”化学的で冴えた”やり方

たとえば家の掃除をする時も、私たちは驚くほどたくさんの化学反応を経験しています。ケイト博士は土曜の朝、キッチンから掃除を始めるそうです。 SNSで話題沸騰の新刊『さぁ、化学に目覚めよう 世界の見え方が変わる特別講義』(ケイト・ビバードーフ:著、梶山あゆみ:訳)。テキサス大学で文系の学生に向けた授業を担当し、自他ともに認める化学オタクの著者(表紙写真で火を噴いている人物)が、高校から大学の教養レベルで学ぶ化学の基本原理と、日常にあふれる化学反応をわかりやすくユーモアたっぷりに

広大な”狼屋敷”で犬、狼、ジャッカル、狐、ハイエナと暮らした「犬奇人」のすご過ぎる人生【動画つき】

 戦前から戦後にかけて、狼をはじめとするイヌ科動物を独学で研究し、雑誌『動物文学』を立ち上げた平岩米吉という人物がいました。  動物行動学の父・ローレンツに先駆けて自宅の庭で犬、狼、ジャッカル、狐、ハイエナと暮らしながら動物を徹底的に観察。「シートン動物記」「バンビ」といった動物文学を初めて日本に紹介し、フィラリアの治療開発に私財と心血を注ぎました。この、知られざる奇人であり偉人を描き切った痛快ノンフィクション、ヤマケイ文庫『愛犬王 平岩米吉』(片野ゆか著)から「プロローグ」

【アメリカの化学者が教える】マーガリン等に含まれるトランス脂肪酸は、なぜ動脈硬化のリスクを上げるのか?

SNSで話題沸騰の新刊『さぁ、化学に目覚めよう 世界の見え方が変わる特別講義』(ケイト・ビバードーフ:著、梶山あゆみ:訳)。テキサス大学で文系の学生に向けた授業を担当し、自他ともに認める化学オタクの著者(表紙写真で火を噴いている人物)が、高校から大学の教養レベルで学ぶ化学の基本原理と、日常にあふれる化学反応をわかりやすくユーモアたっぷりに語る一冊です。 私たちが毎日の食事でとっている油脂。これは、脂肪酸とグリセリンという分子からできています。脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

ボクの体はスポンジやガラスです

人間の体の約60%は水だといわれています。ですが体を絞ったら水が滴り落ちてくるなんてことはありえませんね。一方、海綿動物ではそんなことがありえます。海の綿、英語では「スポンジ」と呼ばれています。何を隠そう私たちが日頃使っている食器を洗ったり体を洗ったりするスポンジは、真のスポンジである海綿動物の体をマネしてつくられたものです。多くのカイメンは繊維状タンパク質でできた吸水性抜群な体の中に、小さな針状の骨片をたくさんもっています。 さて、ほねなしと言っているのに骨片? と疑問に

宇宙人よりも宇宙人な、地球の生きものたち

海には不思議な形、驚くような生き方をしている動物がたくさんいます。その多くが無脊椎動物と呼ばれる、背骨をもたない動物です。私たち人間を含む哺乳類や鳥、魚などの、一般的に人が〝動物〞だと思っている生きもの(脊椎動物)は、背中に体を支える背骨(脊椎)をもっています。その脊椎をもたないのが無脊椎動物。背骨がないので、私は親しみを込めて〝ほねなし〞と呼んでいます。 一般によく知られるものとしては、イカ、ヒトデ、クラゲ、カニなどがいます。でも知られているほねなしなんてほんのわずか。み

ヒトは自分自身のやっていることを案外わかっていない

(以前の記事はこちらから) 生きものの情報処理 単細胞には脳がないのにどうやって情報処理をするのでしょうか? 問題を解く賢さはいったいどこにあるのでしょうか? 生きものの問題解決能力やその方法については、まだまだわからないことだらけです。 自分自身のことですら、よく考えてみるとわからなくなることがあります。読者の皆さんは友だちの顔を見て、「あっ、だれだれだ」とすぐわかりますが、どうやって顔の特徴を捉えているのか他人に説明できますか? 説明できないけれど、間違えることなく

「単細胞」は愚かさの代名詞? じつは驚くべきことをやっている!

「一寸の虫にも五分の魂」といいまして、虫けらごときにも生きとし生けるものとしての「生」があることを忘れてはならぬとされています。普段顧みぬほど小さい生きものにも、実際必死の生活があります。人類の歴史など足下にも及ばぬほど長い歴史を背負っています。何千万年、何億年という地質年代をずっと生き抜いてきているのですから、その営みはさぞ力強かろうと思われます。決して侮ることなどできないように思われます。果たしてその力強さとはいかばかりなのでしょうか? 最も単純な生物はたった一つの細胞

生き物の知的な行動はどう生まれるか? に迫る本

生きものの知性を探る旅 この本は、「生きものが知的であるとは一体どういうことだろうか?」という疑問について、粘菌という単細胞生物の振る舞いを見ながら、なるべく根源的なところを探した研究を紹介しています。「知的」といってるのに、「単細胞生物」を対象としていることが、すでに問題提起的です。「単細胞」という言葉にはあまり賢くないという意味がありますが、どうもそうとは言い切れないようです。このことが、この本の出発点になっています。 知的というと、まずはヒトの能力を思うのがふつうで

映画「ゴールデンカムイ」アイヌ語監修者が語る、アイヌの物語のとてつもない魅力

 映画「ゴールデンカムイ」の公開が始まりました! マンガから一貫して同作のアイヌ語監修を務める千葉大学名誉教授・中川裕氏が"名著"として推薦しているのが、ヤマケイ文庫『アイヌと神々の物語』です。アイヌ語研究の第一人者、故・萱野茂氏が、祖母や村のフチから聞き集めたアイヌと神々の38の話を収録した一冊。本書から、中川先生書き下ろしの序文を公開します。 河合隼雄氏、推薦! 「『ウウェペケレ』は『昔話』そして『お互いの心が洗われる』ことを意味する。人間の生死について深く考えようとす

「12頭のシャチが流氷に閉じ込められた!」…極寒の中での救出、シャチの親子を襲った悲劇とは?

 日本一クジラを解剖してきた研究者・田島木綿子さんの著書『海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること』。海獣学者として世界中を飛び回って解剖調査を行い、国立科学博物館の研究員として標本作製に励む七転八倒の日々と、クジラやイルカ、アザラシやジュゴンなど海の哺乳類たちの驚きの生態と工夫を凝らした生き方を紹介する一冊です。本書から、内容の一部を公開します。写真:©Uni Yoshikazu,2005 北海道から届いた衝撃の一報  2005年2月7日、国立科