【養老孟司が教える】「同じ自分」でいれば、飽きるに決まっている
◎ファーブルはなぜすごい?
ファーブルの『昆虫記』は九十歳を超える一生の中で虫を見てきた記録である。これは凄いと思う。生活費も稼がなくてはならなかったのだから、虫だけ見ていたわけではない。ファーブルみたいな人がいたということが、虫が見るに値することの証拠になる。
ファーブルはまさに「この道一筋」の人だった。この慣用句は、一生同じ会社に勤めていた、というような意味ではない。「この道」というのは、あまり目立たない、地味な仕事という意味であろう。でも、それを一生、ひたすらやっ