vietnam会社設立③ 書類手続き


[新設会社の定款ドラフト]
定款の内容は、ベトナムの法律に反しない範囲で記載することができます。

ただし、定款には必ず記載しなくてはならない絶対的記載事項というものがあり、少なくとも以下の内容を有限会社の定款に記載する必要があります(企業法25条)。

[全法人形態に共通する定款絶対的記載事項]
有限会社の場合は所有主または発起出資者の氏名、住所、国籍および基本的特徴。株式会社の場合は発起株主の氏名、住所、国籍および基本的特徴。合名会社の場合は合名出資者全員の氏名、住所、国籍および基本的特徴。
有限会社および合名会社の場合は各出資者の出資率および出資額。株式会社の場合は発起株主の購入する株式数、株式の種類、株の額面、上場される種類別の株数
有限会社および合名会社の場合は社員(出資者)の権利および義務。株式会社の場合は株主の権利および義務
有限会社および株式会社の場合は法的代表者
合名会社の場合は合名出資者全員の氏名と署名。有限会社の場合は会社の法的代表者、会社の所有主、出資者全員または委嘱代表者の氏名と署名。株式会社の場合は会社の法的代表者、発起株主全員または発起株主の委嘱代表者の氏名と署名

[会社定款絶対的記載事項]
本社、支店、駐在員事務所(もしあれば)の名称および所在地
事業内容
法定資本、法定資本の増資・減資の方式
管理組織機構
決定の承認手続、会社内に発生する紛争解決の原則
管理人および監査役会のメンバーまたは監査役の給与、報酬と賞与を計算する根拠・方法。株式会社の場合は取締役員、社長および監査役の給与、報酬と賞与を計算する根拠・方法
出資者または株主が、自らの出資率(有限会社)または株式(株式会社)の買い戻しを会社に要請する場合の取り決め
税引き後利益の分配および損金の分担に関する原則
企業解散、解散手続および資産の清算手続
定款の改正・追加手続方法


定款作成時の注意点として、資本金を現物出資で準備する場合は、定款にその旨を記載する必要があります。
記載がないと資本金のすべてが現金出資になってしまいます。

また、決算月は、設定をしないと自動的に12月になってしまうので、決算月を12月以外に設定する場合も、その旨を記載する必要があります。

ただし、12月以外の決算月は、3月、6月、9月のいずれかとなり、それ以外の月は認められません。

定款作成後に決算月を変更するのは、財務省等への登録手続が必要になるため、あらかじめ決算月を決めておくのが無難です。

[不動産賃貸契約書]
不動産賃貸契約書を申請時に提出します。

そのため投資登録証明書の取得前にオフィスまたは工場用地を確定させる必要があります。
賃貸契約締結から投資登録証明書取得までの期間が長くなれば、その間は空家賃が発生することには気を付ける必要があります。

賃貸契約が6カ月以上で、物件のオーナーが不動産賃貸業者ではない場合、賃貸契約書の認証が必要となります。

また、物件オーナーが個人の場合は、個人事業主として公安局および税務署などの関連機関に登録を行う必要があります。
登録を行っていない物件オーナーの場合は登記を行うことができません。

また、不動産の大家の土地権利書、営業許可書等に記載される内容と、設立される現地法人の事業内容は一致していなければなりません。
原則として、コンサルティング業を営むオフィスを、工場用地に登記することはできません。

ベトナム法人の代表者のベトナムでの住所も申請書類に記載するため、事前に代表予定者の住居を確定させる必要がありますが、実際は、日本の住所であっても指摘を受けないことが多いです。
代表者が住居の賃貸契約書を提出する義務はありませんが、投資登録証明書に記載されることになります。

[関係者のパスポート]
出資者のパスポート、現地法人の法定代表者のパスポート、親会社の代表取締役、ベトナム現地法人の代表取締役および取締役のパスポートは公証認証が必要です。

■書類の提出・申請~投資登録証明書取得
すべての書類が揃った後は、当局に書類を提出します。
提出先は、管轄の投資計画局または工業団地管理委員会です。

ベトナムの規則では、書類を提出してから投資登録証明書の取得まで所有日数は15~45日となっています。
工業団地内の製造業であれば通常の日数で投資登録証明書を取得することが可能ですが、製造業以外の業種は、予定どおりに取得できることは稀で、投資登録証明書の内容によっては取得までに半年以上かかることもあります。

■ 企業登録証明書の手続
投資登録証明書の取得後に企業登録書の取得手続を行います。
法令上は申請から3日で取得完了とされていますが、実務上はそれ以上の時間を要することが多いです。

■ 投資登録証明書及び企業登録証明書取得後の手続
企業登録証明書を取得した後も多数の手続があります。
下記のいずれも外国法人に義務付けられているものであり、不備があるとペナルティを科せられることがあります。

[納税者番号の取得・登録]
企業登録証明書発行後、10日以内に管轄の税務署にて納税者番号を取得し、登録を行い、税務登録証明書を取得します。

[会社設立の公告]
投資登録証明書の取得後、計画投資局管轄のポータルサイトにて会社設立の告知を行います。
告知する内容は、会社名、住所、事業内容、資本金額、投資者、ベトナム法人代表者等の情報です。

[会社印の作成]
以前は、公安局にて、投資許可証取得直後に会社印および印鑑登録証明書を 取得していましたが、新会社法により管轄が公安局から投資局に変わりました。

会社は会社印の様式を自由に決めることができ(会社印として相応しい必要があります)、会社印の作成後に投資局に登録を行います。
登録は、ポータルサイトで行い、ウェブ上で印鑑証明を確認できます。登録後に、印鑑のサンプルの掲載完了の通知書を取得できます。

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