北の記事を鵜呑みにしてはならない

北朝鮮であったとされる公開処刑について、東亜日報2021/4/29に、周成賀記名の記事が載ったという。

「周によれば、公演後に金正恩が劇団を褒めたが、ある指揮者が近くにいた人物に「自分はそんなにいいと思わなかった」と話したのが密告で金の耳に入ったらしい」それで、公開処刑で90発の弾丸を浴びたと、以下のメディアが取り上げた。

ニューズウィーク日本語版2021/5/21 記名ジョン・ジャクソン
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/05/90-22.php
President Online(上記の引用)
https://president.jp/articles/-/46441

東亜日報2021/4/29電子版に周氏の記事を見つけることはできていない。

「90発の弾で撃たれた遺体は、持ち上げることもできないほどずっしりと重かった」としているが、そんなことあるだろうか。処刑は3人がAK47銃で30発づつ撃ったとされる。

しかし、10mという至近距離からそんなに多数の銃弾を受けたら、遺体が形をなしていないだろうことは、素人でも分かる。しかもAK47の弾重10g程度で、全部身体に残ったとしても、10g x 90発=900gだから、1kgにもならない。しかも多量の流血をしているはずだ。「持ち上げることもできないほど」とは誇張が過ぎる。

つまり、この記事にはウソまたは誇張が含まれている

そう考えると、『自分が褒めた劇団を悪く言った、というぐらいで残酷な公開処刑が行われる』という筋書きそのものにも信頼性がなくなってくる。

私は、北朝鮮で、理不尽な公開処刑が行われていることを確信しているが、嘘は駄目だ。嘘なんかつかなくても、北=金正恩はじゅうぶん酷すぎることをしている。公開処刑だけではなく、さまざまに人権蹂躙されている人々を、何とか、早く救えたらと願っている。

そのためには、立派な名前のあるメディアが、興味本位で記事を引用するのではなく、事実をきっちり伝え、どうすれば良いのかを、国際世論に強く訴えて欲しいと思う。

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