浮き足立つ

少し涼しくなって、もう秋である。本当に時間が経つのが早い。将棋を指していないと、この過ぎた時間に何も残らないような気がしてしまう。棋譜が残るのが将棋の素晴らしいところだなと改めて思う。

昨日の対局に勝ち、7連勝である。なんということか。
体調が持ち直したのも大きいが、特筆すべきは後手三間で7連勝している点である。やはり後手ノーマル三間飛車には、後手振り飛車界の救世主たりうるポテンシャルがあるのだろう。戦法が素晴らしいのだ。
最近は他の方のノーマル三間飛車の勝率も良いような気がする。自分が勝っているうちは心に余裕があるので、同志の勝利は心強い。特に高崎七段や青嶋六段などが指しているミレニアム系の工夫には注目している。三間飛車の中で幅を広げることが出来れば、無理なく作戦の選択肢を増やすことが出来るので自分も勉強していきたい。

昨日は久々にABEMA動画中継がある対局での勝利だった。勝てて嬉しいのと、感想戦でどんな事を喋っていたか気になるので、ABEMAプレミアム会員の権利を活かして動画を見返した。
将棋の内容的には復習になって良かったが、あまりにも自分の喋りが偉そうなので申し訳ない気持ちになった。
相手の伊藤匠四段は19歳でかなり年下である。いくら有望株でもへり下る方が変だとは思っている。
しかし… 頭を抱えたくなるような滑らかな喋り…。ざっくばらんに喋っているつもりが側から見ると馴れ馴れしい、偉そうに聞こえる事もあると思うので気を付けます。。

プロ棋士になり3年、未だに三間飛車を貫いている。
貫くと言えば聞こえは良いが、他のスタイルも模索して悩んで、現実との兼ね合いもあり結果として現状の三間飛車一本のスタイルを維持しているというのが正直なところだ。
覚える定跡が加速度的に増えていく居飛車の最新形を突き詰めている棋士は凄いと思う。自分なんかより勉強時間も多いだろう。
最近はあまり意地になる事もない。居飛車党は素直に凄いと思う。こちらは役得というか、少数派ゆえに好意的に見てもらう事があって、ありがたいなと思うのだ。

見てくれる方、応援してくれる方には、同じ戦法ばかり指して変化がないと思われないように少しずつ成長している所を見せたい。毎局の細かい工夫も、結果を出して上に行かないと注目してもらえない。やはり僕は藤井猛先生のようになりたいのだ。

最近嬉しい事がある。
初めて良い駒を買ってくれた母方のおじいちゃん、初めて良いスーツを買ってくれた父方のおじいちゃん。2人とも結果を逐一見てくれていて、勝ったら電話を掛けてくれるのだ。
「また勝って連勝やないか!凄いなぁ」「いやいや〜ありがとう」「博志、昇段はいつや?」「おじいちゃん、それはまだ遠いよ。笑」

どうやら浮き足立っているのは自分だけではないようである。

またすぐに対局があるので、地に足つけて気を引き締めて臨んでいきたい。

山本博志


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