父と子の素人将棋日記

こんばんは。最近は将棋界のオンラインでの盛り上がりが凄いですね!
棋士の先輩方をはじめとして、将棋に携わる全ての方の愛と知恵とパワーを感じます。

僕も、自分の力なさを感じつつも、これからもぽつぽつと発信して行ければと思っています!

今回の話は、
いつかはお話したかった事で、知る人ぞ知る、という話です。


「父と子の素人将棋日記」というブログをご存知だろうか?
僕の父が、僕が小学二年生で将棋に熱中し始めたのをキッカケにスタートして、そこから奨励会に入会を決めるまでの3年10ヶ月間、親の視点から様々綴ったブログだ。
知ってる方がいらっしゃったら、嬉しい。必然、棋士としての自分も見てくれているという事になる。

実はさっき、ブログを開いてみた。まだ読めるようだ。最後の更新は2008年かぁ。
以下、「卒業」という記事から抜粋する。

前略-この「父と子の素人将棋日記」は、拙文の集まりですが、私にとっては記念碑的な存在であり、このままの形で閲覧可能な状態にしておきたいと思っています。

その記念碑を今もこうして読める事にちょっぴり感動する。棋士になった時に読んだ以来だから、1年半ぶりに読んだな。
なんだか暖かいな。


そういえば、将棋を教えてくれたのも父だった。父は元々将棋が好きだったようで、僕が将棋に熱中する事を喜んでいた気がする。強制されたりは全くしなかったので、伸び伸び自分の意思で将棋にハマっていった。

10級で初めて将棋会館道場の門をくぐった時、父も5級を認定されて一緒にスタートラインに立った。
全然歯が立たなかった父に5級で追いついた時はすごく嬉しかった。ただ、なぜかそこからデットヒートが始まって、お互い同じくらいのタイミングで初段になった。これは大人としては驚異の成長スピードだ。
父は結構真剣に将棋に取り組んでいて、かの名著「四間飛車を指しこなす本」を擦り切れるまで読んでいた。そりゃあ強くなるわけだ。
あとカニカニ銀戦法も大好きだった。緩急が凄いな。

そういえばその頃、父から「藤井猛って人は藤井システムで革命を起こした凄い人なんだぞ。」と聞かされていた気がする。今思えばこの頃から刷り込まれていたのか…笑

一緒に将棋道場に通ってくれた思い出は、本当に楽しいものとして心に残っている。この日々のお陰で「小さい頃、一緒に遊んでくれた」というイメージが決定付いた。

それから、ブログには研修会や将棋大会などで、全国の将棋仲間(父目線では、'将棋親'仲間)と交流をしていく様子が綴られる。
そこに登場してくる人で、今でも仲良くしている人もいて、本当に面白い。

僕は関矢さん(関矢寛之元三段)にとてもお世話になっているが、最初に出会った時の様子がブログに綴られている。多分誠也もどこかで登場してるんじゃないかな。奨励会試験のくだりでは、悠太郎(小高三段)と鬼勝負を指した時の話もある。

また、父は思案家のようで、僕が奨励会を目指すようになると親目線から、何に取り組めばいいのか?を色々考えてくれていたようである。
たくさんアドバイスもしてくれた気がするが、僕は本当にマイペースなので殆ど右から左に聞き流してしまっていたと思う。
ブログではその様子を暖かく見守ってくれているのだが、ブログを休止後、つまり僕が奨励会に入会した後、父は物凄く厳しくなった。

とにかく1日13時間将棋の勉強をしろと毎日言われるようになった。毎日である。 無理でしょそんなん。笑

怖かったし嫌だった。ブログを書いてくれていたのは知っていたけれど、読む事はなかった。小さい頃の期待に背いている気がして。
将棋で怒られた事なんて無かったから僕はとても戸惑った。今思えば、父は一早く奨励会の恐ろしさを察知して、警報を鳴らしてくれていたのだなと思う。

結局、そういう事には自分で気付くしか無く、大分時間がかかってしまった。そして、これからまた気付き直さないといけない。

三段になると、そういう事は言われなくなった。言われなくなった頃にようやく気付いて、1日13時間くらいの勢いで勉強するようになった。
親は偉大で、頭が上がらない。今になってよりそう思うが、棋士になった時、父は握手を求めてきた。
固い握手だった。痛かったな。色んな気持ちがこもっていた。

何日か経って、「正直、奨励会がこんなに厳しいとは思わなかった。」と言われた。同感です。
そしてその後、多分初めてブログを読んだ。奨励会入会を決めた頃の記事、あなたも隠してるけど内心ウキウキですね。文章読めばわかりますよ。
それから色々話した気がするが、お互いとにかく苦笑いである。苦笑いでも笑えてよかった。


今、またブログを読み返す。パワーが湧いてくるからすごい。このnoteもいつか読み返す日が来るのだろうか?

王座戦、痛い所で負けてしまったけれどまた仕切り直して頑張ろうと思う。


山本博志


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