角換わり腰掛け銀

お久しぶりです。

まず、記録係の不足の問題について。
最若手棋士である自分が、緊急事態宣言以降1局しか取っていないこと、そして結果的にいつも同じ方達、特に女流の方に何回も取って頂いている事を申し訳無く思います。ごめんなさい。
また、感謝もあります。ありがとうございます。

自分の出来る範囲で、というスタンスでした。6/2にA級順位戦を取る予定で、その次は6月終わり〜7月頭で取るつもりです。
自分の立場を考えると少ないと思います。なんとかこれで許して下さい。

特に提言は出来る立場では無いので、感謝とお詫びだけ載せさせて頂きます。

ーー

最近、迷走しているな、と感じる事が増えた。将棋についての悩みは尽きることは無い。
必要な事なのだろうが、ある日、とうとう角換わりを勉強しよう、という気持ちになってしまった。
今まで、居飛車を指す事はあっても角換わりだけは無いです。と散々言ってきた。
一番定跡化が進んでいる分野であり、60手目〜70手目辺りまで定跡、というのが普通と聞く。
しかも、今は序盤でわざと手損して手待ちをする作戦が主流だ。とても将棋を覚えたての方には勧められない。

何がキッカケかは分からないが、強い人同士の角換わりの棋譜をちゃんと見た事がキッカケだっただろうか。
今まで意地を張って適当に見てきたのだが、ちゃんと見ると存外面白いのだ。笑
やはり、豊島名人や藤井七段の角換わりは見応えがある。
トップ棋士の角換わりはハイレベルな手が終盤まで続くような棋譜になりやすい。

人間は体系立てた記憶が得意だから、角換わりのように課題局面が類似しやすい戦型では、驚くほど事細かに定跡を記憶出来るのだと思う。
人真似はつまらない。という自分の考えは変わらないが、もはやソフトの真似になってしまっている角換わりでも、「こんな所まで正確に理解しているのか。」という種類の感動がある事に気付いた。
また、終盤が難解になりやすいのもこの戦型の特徴だ。たとえ定跡だけを正確に理解しても、そこから先に訪れる終盤戦は評価値では測れない複雑さがあり、人間が正確に指すには並外れた読みの力と瞬時の対応力が求められる。

今まで、角換わりを好む棋士はソフトの真似をしている。と短絡的に決め付けていた。
しかし、体系立てた定跡理解に自信があり、なおかつ毎局違う展開になる終盤戦でも正確に指せる終盤力に自信を持つ棋士が、自身の長所を活かすために採用している戦型である。と捉える事も出来るのではないか?と考え直した。
同じ居飛車党でも、矢倉を好む棋士、相掛かり横歩取り系を好む棋士、それぞれ違う考えがあるのだろう。

前置きが長くなったが、まず手始めに池永天志さんの本を買って読んだ。
面白い! こんな所まで定跡なのか。
自分にとっては全てが新鮮だった。皆、こんな事を考えて角換わりを指していたのか!

こうなるともう早く試したくて仕方がない。角換わりだ角換わりだ!
将棋ウォーズや将棋倶楽部24で何局か指した。

うぐ、、勝てない… 難しい…
しまいには将棋倶楽部24で、相手が毎手0.5秒で指してきて、1分しかない持ち時間の内の30秒しか使われずに必敗になって、笑ってしまった。相手にも笑われていただろう。
くそう。なんて不甲斐ないんだ。俺はこんな弱くないのに。
思わずふて寝してしまった。

そして-- 数時間後、たまらず飛車を3筋に振る自分が居た…

序盤が分かる… さっきよりあらゆる変化を理解して指せている…
中盤も面白いように捌ける… 終盤もいつも通り手堅い…サンキュー美濃囲い…
ふん、どんなもんだ。俺は本当はこういう将棋を指せるんだ。わっはっは。

んー 。
進 歩 が 無 い !!

悲しいよ。いつからこんな身体になってしまったんだ。

角換わりにハマったあの3日間は自分に何を与えてくれたのだろうか?笑
将来またチャレンジはしやすくなった。いつになるか分からないが…
あとは角換わりを指す棋士への理解が深まった。
とりあえず、池永さんの本は超面白かったです!!

山本博志


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