いわゆる「裏金」問題をめぐって

メディアなどでは、さまざまな改革や法改正が必要ではないかとの論調もありますが、そもそも法改正の問題なのかな、という疑問があります。

今回のキックバックの問題は、政治資金規正法に基づいて記載すべきものを記載しなかったという違法行為です。「抜け道」つまり脱法行為があったということであれば、抜け道を防ぐための法改正などの「改革」が必要でしょうが、すでに法律は存在しています。「人を殺してはならない」「他人の物を盗んではならない」という法律がすでに存在しているにもかかわらず、殺人や窃盗を行った人がいるたびに「改革」が必要になるわけではないのと同じはずです。適正な捜査を求めることと、場合によっては告発を行う、というのが本来の筋と思います。パーティーそのものの是非などに論点が飛び火していることは、かえって収支報告不記載をした議員の責任追及から、視点がそらされてしまいます。

また、政治資金について一定額以下の寄付などについては公開しなくてよいことがけしからんという論調も見受けられますが、この点については異論があります。

アメリカでは、政治献金についても言論の自由の文脈で捉えられています。
★Citizens Unted v. FEC 558 U.S. 310, 130 S. Ct. 876 (2010)

政治献金についても、匿名性は保障されるべきと考えます。受ける側ではなく、寄附する側の問題として、どの議員に寄付をしたかが1円単位から公表されることになると、寄附をした人物がどのような政治的主張を有しているかが分かってしまうからです。就職試験に際して、採用者側が受験者に「どの党の支持者ですか」なんて聞くのはNGのはずですし、これをご覧になっている方も、ご自身が寄附したことが公開されるというのはのぞまないのではないでしょうか。


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