第22話 味もマーブル模様「熊本ラーメン桂花」
今回のご当地ラーメンは熊本。
熊本県は数年前に家族旅行で訪れた。震災のため復興中の熊本城を見学し、崩落した石垣や地面の変形によって曲がってしまった城壁に、震災のすさまじさを目の当たりにしたのをよく覚えている。
さらに帰宅後にインフルエンザを発症し、「よけいなお土産持って帰って!」と周囲から呆れられたのも記憶によく残っている。
そしてこの時もまだご当地ラーメンの知識や関心はなく、むざむざとチャンスを逃してしまっていたのを、今になって悔やんでいる。
かの地熊本県で有名なのは『熊本ラーメン桂花』さん。昭和30年創業で、熊本県と東京都に店舗を置く老舗だ。当時東京ではしょうゆラーメンが主流であったが、このとんこつラーメンは瞬く間に東京の人たちに広まったと聞く。
桂花ラーメンの特徴は中太・固めのストレート麺、豚骨鶏がら白湯・マー油とのことだ。時々耳にする『マー油』、どんなものだろうか。
ところで、日本各地で色々なラーメンが食べられているが、その店々のこだわりであったり、食べる人への思いがそれぞれに込められており、そのメッセージを一読しておくと、味わいもまた深くなる。桂花さんのホームページを見てみよう。
桂花さんの食べる人への優しさを感じ取ることができる。それではさっそく実食したい。今日も職場のお昼ごはんとして食べることにする。
さて、それでは開封。小袋は三種、あといれ液体スープ、あといれ特製調味油、かやくだ。粉末スープはない。
早速かやくを麺の上にあける。かやくはチャーシュー、ネギ、茎わかめに、小さな茶色い粒はニンニクのようだ。お湯を入れるとさっそくニンニクの香ばしい香りが漂う。
5分経過。ふたをあける。まずは『後入れ液体スープ』だ。ねっとりとした茶色いペーストを溶かすと、光をきらりと反射するクリーム色のスープになる。
まずはこの段階で一口スープを飲んでみる。まろやかでありながらも濃厚でシャープさもある存在感のあるスープだ。そして『あといれ特製調味油』を入れる。これがあの『マー油』であろう。クリーム色のスープの上に濃い茶色の油が広がり、香ばしい香りが漂う。軽く混ぜると茶色とベージュの美しいマーブル模様が出来上がる。
では麺を食べてみる。麺は比較的白めで口当たりはソフト。マー油をまとってつるつると口に入り、モチモチした食感で弾力もある。焦がしニンニクの香りと風味が口に広がる。この香ばしさ、すばらしい。とんこつスープのしっかりとしたベースの上に、焦がしニンニクの香りと風味。
見た目そのもののように、マーブル模様のスープが味としても同じようにマーブルに表現されているようだ。それぞれ存在感のある豚骨スープとマー油、これらが絶妙にバランスをとることで、立体的な奥行きのある味をつくっている。
もう一つ特徴的なのは茎わかめだ。他のラーメンでこの具材を見たことがない。時々混じる少し違った食感をさりげなく味合わせてくれる。これもやはり本家桂花さんの特徴とのことだ。ところでネギを見ないような気がするが・・・最後にお出ましました。ネギは浮上することなく、スープの底に沈んでおられました。
あー、今日も美味しかった。満足満足。
後でNsステーションに入ってきた看護師さん「美味しそうな匂い。ごま油かな?」
(ふふふ、マー油だよ。焦がしニンニクもね)口には出してまで言わなかったが、今日も君たちに香りだけプレゼントだ。
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