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第22話 味もマーブル模様「熊本ラーメン桂花」

今回のご当地ラーメンは熊本。

熊本県は数年前に家族旅行で訪れた。震災のため復興中の熊本城を見学し、崩落した石垣や地面の変形によって曲がってしまった城壁に、震災のすさまじさを目の当たりにしたのをよく覚えている。

さらに帰宅後にインフルエンザを発症し、「よけいなお土産持って帰って!」と周囲から呆れられたのも記憶によく残っている。

そしてこの時もまだご当地ラーメンの知識や関心はなく、むざむざとチャンスを逃してしまっていたのを、今になって悔やんでいる。

かの地熊本県で有名なのは『熊本ラーメン桂花』さん。昭和30年創業で、熊本県と東京都に店舗を置く老舗だ。当時東京ではしょうゆラーメンが主流であったが、このとんこつラーメンは瞬く間に東京の人たちに広まったと聞く。

桂花ラーメンの特徴は中太・固めのストレート麺、豚骨鶏がら白湯・マー油とのことだ。時々耳にする『マー油』、どんなものだろうか。

マー油(マーゆ)は、にんにくを主とした香味野菜各種をラードで揚げて作った香味油である。スープの臭みを消し、コクと風味を増し食欲をそそる画期的な油で今でも進化を続けている。

wikipeda

ところで、日本各地で色々なラーメンが食べられているが、その店々のこだわりであったり、食べる人への思いがそれぞれに込められており、そのメッセージを一読しておくと、味わいもまた深くなる。桂花さんのホームページを見てみよう。

洗練された「旨み」と、やみつきになる「香り」
栄養満点になるように、たっぷりの生キャベツと
とろける豚角煮「太肉」(ターロー)をのせて
みんながお腹いっぱい、元気いっぱい
「ごちそう様!」「美味しかった!」
と笑顔で帰ってほしい
それが、桂花の原点です

桂花ホームページより

桂花さんの食べる人への優しさを感じ取ることができる。それではさっそく実食したい。今日も職場のお昼ごはんとして食べることにする。

さて、それでは開封。小袋は三種、あといれ液体スープ、あといれ特製調味油、かやくだ。粉末スープはない。

早速かやくを麺の上にあける。かやくはチャーシュー、ネギ、茎わかめに、小さな茶色い粒はニンニクのようだ。お湯を入れるとさっそくニンニクの香ばしい香りが漂う。

5分経過。ふたをあける。まずは『後入れ液体スープ』だ。ねっとりとした茶色いペーストを溶かすと、光をきらりと反射するクリーム色のスープになる。

まずはこの段階で一口スープを飲んでみる。まろやかでありながらも濃厚でシャープさもある存在感のあるスープだ。そして『あといれ特製調味油』を入れる。これがあの『マー油』であろう。クリーム色のスープの上に濃い茶色の油が広がり、香ばしい香りが漂う。軽く混ぜると茶色とベージュの美しいマーブル模様が出来上がる。

では麺を食べてみる。麺は比較的白めで口当たりはソフト。マー油をまとってつるつると口に入り、モチモチした食感で弾力もある。焦がしニンニクの香りと風味が口に広がる。この香ばしさ、すばらしい。とんこつスープのしっかりとしたベースの上に、焦がしニンニクの香りと風味。

見た目そのもののように、マーブル模様のスープが味としても同じようにマーブルに表現されているようだ。それぞれ存在感のある豚骨スープとマー油、これらが絶妙にバランスをとることで、立体的な奥行きのある味をつくっている。

もう一つ特徴的なのは茎わかめだ。他のラーメンでこの具材を見たことがない。時々混じる少し違った食感をさりげなく味合わせてくれる。これもやはり本家桂花さんの特徴とのことだ。ところでネギを見ないような気がするが・・・最後にお出ましました。ネギは浮上することなく、スープの底に沈んでおられました。

あー、今日も美味しかった。満足満足。

後でNsステーションに入ってきた看護師さん「美味しそうな匂い。ごま油かな?」

(ふふふ、マー油だよ。焦がしニンニクもね)口には出してまで言わなかったが、今日も君たちに香りだけプレゼントだ。

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