ambient tune 聴取の詩学VII

カメラを持つと意識が変わる。
面白いものを探して歩くようになって、
慣れ親しんだ道にさえいろんなものを発見するようになる。
よく言われることですね、実感してます。

私にはもうひとつ、
慣れ親しんだ道でさえ見え方が変わるような習慣があります。
それは、このシリーズで紹介しているような曲を聴きながら歩くこと。

電車の中、街頭、カフェ、公園、ショッピングモール…
曲がBGMとなって、何でもない風景が映画の一場面のように見えてくるんです。
不思議な感覚です。

それ自体が主役になってしまうような曲だとそうはなりません。
盛り上がりもなくただダラダラと退屈な曲が具合が良い。

もともとは個展でのBGMを想定して作り始めたもの。
それ自体が主役みたいに存在感を主張してもらってはいけません。

曲が流れていることが意識されないもの。
その空間に流れる時間の抑揚、空気の密度、温度、テンション、肌触り…そんなものを醸し出すもの。
そして、記憶に残らないもの。

散歩のお伴には自分の作った曲が一番です。
「楽曲」として良いものかどうかは全く関係ありません。
そんなことよりも大切なのはBGMとしての効果。
自分の感性に一番ぴったりくるのはやはり自分の感性から生まれてきたものだからでしょう。
世界でひとつだけのオーダーメード。

これまでは曲の紹介が中心でした。
曲だけだときっと退屈だろうと適当に映像を付け加えてきましたが、今回はちょっと違います。
先に映像を作りました。
手持ちの曲の中から似合いそうなものを選びました。
映像の長さに合わせて短くしました。
本来のBGMとしての在り方。
今までとは少し赴きの変わった動画になりました。

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