「コラグラフ」について

 紙版画のドライポイントのことを「コラグラフ(collagraph)」と称している事例をよく見かけます(国内だけでなく海外でも)。
 コラグラフの「コラ」は「コラージュ(collage)」のこと。つまり何らかの素材をコラージュ(貼り付け)して作った版による版画のことです。ドライポイントはニードルなどで描画する、あるいは版の表層を剥がして図柄を表現する技法であり、何か別の素材を貼っているわけではありません。何故それが「コラグラフ」と呼ばれるのか、私は大変違和感を覚えるのですが、どなたかご存じの方がいらっしゃいましたらごお話しを伺えませんでしょうか。

また、ジェッソやジェルメディウムなど各種のメディウムやボンドを盛り上げて図柄を表現する技法も「コラグラフ(collagraph)」と呼ぶ事例を多く見受けます。例えば絵画の場合、メディウムで盛り上げてマチエールを作った作品を「コラージュ」とは呼びません。「常の描画法によってではなく、ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせること(wikipedia「コラージュ」より)」によって制作された作品が「コラージュ」と呼ばれます。
こうしたことから私は、メディウム等で盛り上げただけで他の素材を貼らずに作った版を「コラグラフ」ということに違和感を覚えます。
私はとりあえず「メディウム盛り上げ版」と呼んでいます。ただこれが一番適切かどうかは思案中です。しかし「コラグラフ」という言い方よりもよほど適切な表現だと考えています。
これにつきましてもご存じの方がいらっしゃいましたらごお話しをお聞かせいただきたく願いたいと思います。

以上、よろしくお願いいたします。

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