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5. 売ってはいけない地質物品と売ってもよい地質物品

ジオパークで売ってはいけない物品とは、例外を除いて、すべての岩石・鉱物・化石などです。すべての岩石・鉱物・化石は、地質遺産であるか、地質遺産となる可能性(ポテンシャル)があるからです。例外というのは、ガイドラインに明確に示されていないので、個別に相談して、例外として認めてもらう必要があります。ただし、明らかに例外に相当するものは、国や自治体で認めている採掘場の砕石や工業原料となる岩石・鉱物などでしょう。道路や建物の原材料の売買を認めなければ、人々の生活は成り立ちません。また、ジオサイトの近傍での販売は、強く戒めていますが、ジオサイトから離れたジオパーク内での販売も容認されていると考えます。ただし、これも、ジオパークの概念から考えたら、売らないに越したことはありません。次に、ジオパーク外における売買です。ジオパークでは、ジオパーク内の活動のみを規制しているので、当然ジオパークの外での売買を制限することはできません。しかし、ジオパークが、すべての地質遺産の保護を目的としている以上、地質遺産を大切にする心や態度を、ジオパーク外に広めていくことも、必要なことかもしれません。

Gui Martini氏の動画にありました「聖ビンセントの星」(ウミユリの化石) の販売は、歴史的慣習であり、地域固有の文化・風習として、売買が例外的に認められています。糸魚川ユネスコ世界ジオパークで行われているひすいの販売も、歴史的慣習として同様に認められています。ただし、これらを販売する場合、歴史的経緯やジオパーク内での役割などを口頭および文書で詳しく説明し、かつ他の種類の岩石を販売しないなど、丁寧で適切な対応を取る必要があります。ジオパークにおいて最も忌避すべきものは、地質遺産を破壊したり、児童労働や薬品を使うなどして環境破壊を伴う採取方法で得られた可能性のある地質物品の販売です。こんなものをあからさまに売っているジオパークは存在しないと思いますが、ジオパーク外、特に海外から、業者等を通じて購入した物品は、現時点ではどんな採取方法で得られたか分かっていないケースが多いので、業者を通じて採取場所や採取方法の確認を取る必要があります。それらの確認が取れない場合は、販売しないことが賢明です。また、すべての宝石などの販売も、文化だという考え方もありますが、これは奥さんに宝石を贈ったことのあるジオパーク関係者の言い訳にすぎないかもしれないので、単純には信じない方が良いかもしれません。これらも、どのような方法で採取されたかを確かめる必要はありそうです。

地質遺産となるべき地質物品の販売は禁止です。ストップ ザ サギ被害, ストップ ザ 地質物品販売