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【不登校と歩む】なぜ親は学校に行かせたいのか

現在中1の次男は、小3の秋から不登校傾向にある。「傾向」というのは、教室ではなく保健室や図書室で主に過ごす「学校内不登校」をやったり、休んだりしているからだ。もちろん、教室に行くこともある。ちゃんと定期テストも受けている。

不登校の親としては、まあまあベテランになってきた。なので、ときどき、お子さんが不登校になった保護者の方から相談を受けることがある。

で、考えてみるのだ。

「どうして親は子どもを学校に行かせたいのだろうか」と。

不登校は子どもの問題である

不登校をやっているのは子ども本人であって、親ではない。それは厳然たる事実だ。

なのに、子どもが不登校になると、親が慌てる。なぜ学校に行かないのだと子どもを責め立てたり、無理矢理学校に連れて行ったり、泣いたりわめいたり、どこかに相談に行ったりする。

確かに「義務教育」期間中は、親は子どもに教育を受けさせる義務がある。が、これは「学びたい子どもの権利を奪ってはならない」という意味だ。児童労働とか、育児放棄によって就学させないとか、そういったことをしちゃだめなのであって、「学校に行きたくない子どもも絶対何が何でも学校にやらなければならない」という意味ではない。

親が慌ててもろくなことはない。子どもは学校に行きたくないんだから、せめて家で落ち着いて過ごしたい。なのに、毎日ぎゃんぎゃん言われたり、そばでおいおい泣かれたりしたら、唯一の居場所すらなくなってしまう。

不登校は子どもの問題だ。親の問題ではない。親と子は別の存在だ。だから、親がするべきことは、まず、落ち着くことだ。

学校ってどんなところ?

学校はすごく便利なところだ。
幼稚園や保育所のときには、親が毎日送り迎えをするが、小学校に入ると基本的に子どもは自分で学校へ行ってくれ、自分で帰ってきてくれる。めちゃくちゃありがたい。
子どもが身につけておいた方がよい知識や習慣は、お役所がすでにパッケージ化してくれているので、教室におとなしく座っていれば自動的にそれらが目の前で展開される。まあ、お手軽。
美味しくて栄養たっぷりの給食は出るし、同じ年頃の友達はできるし、社会の不条理だってちょっぴり経験できる。なんと、親切な。
しかも、公立の小中学校は基本的に無料だ。まあ、教材費とか給食費とかちょっとはかかるけれども。

子どもが学校に行ってくれれば、親はあまり細かいことを考える必要もなく、自分の仕事や家事に没頭できるのだ。なんて素晴らしい。

さて、それが不登校となるとどうなるか。

どこで勉強させるか、どうやって過ごさせるか、昼は何を食べさせるか、勉強をどうやって見てやるか、どんな本を与えるか、などなど、全て家庭で決めていかなければならない。労力とコストが無茶苦茶かかる。

フリースクールやら塾やらホームスクーリングやら、学校以外の勉強方法も存在する。が、田舎では選択肢が極端に少なかったり、送り迎えに時間がかかったり。実際、普通の仕事を持ちながら不登校につき合うのは容易ではない。

学校ってむっちゃコスパいい!

これは、子どもが不登校(傾向)になって、痛感したこと。
なぜ親は学校へ行かせたいのか?」の答えは「コスパがいいから」だと思う。

子どもに本当に必要なことって何だろう?

学校は大人にとってとても便利でコスパのいいところだけれど、子どもにとって快適なのかというと、多分そうじゃない。だからこそ学校に行けないんだもの。
なぜ学校に行けないのか理由を説明しろなんて迫る親もいるけれども、そんなややこしいことを言語化できるほど、子どもはまだ人生経験積んでない。

この子は、お手軽なパッケージの教育じゃ満足できない子どもなのだ。いいセンスしてるじゃないか。なかなかやるぞおぬし。

ということは、君は君自身で、自分の学びと人生をプロデュースしていくってことだ。それは、お手軽なパッケージを受け取ることよりも、いろいろとややこしい。だけど、君が選んだやり方なんだよね。

という訳で、ここからが大人の出番。子どもが自分自身をプロデュースするために必要な材料を集めて、選べる状態にしてやるのが、経験豊富な大人の役目だ。完全オーダーメイドで、労力とコストがめっちゃかかるけどしゃあない。だってこれが君だから。

世の中の仕組みを知るために、ときどき学校へ行くのもいい。いろいろな人と話をするのも大事。学校は、ひとつの学びの場として君の前にあるよ。好きなジャンルの本をむさぼり読むのもいい。物理が好きならとことんやんな。工作もどんどんやったらいい。君の作品、めっちゃ好きやわ。

だけど、普通に中1の子がやってる勉強もしといてね。最低限の知識はつけとくこと。だって、もし将来君が自分の人生を選択しようとしたときに、学力は武器のひとつになるからね。

不登校の子と歩むのは、楽じゃない。
だけど、楽じゃないから、いつか他の誰よりも素敵な景色を見ることができるかもしれない。

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