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あと何回母に会えるのだろう

子どもたちの春休みを利用して、帰省することにした。

いまいましいウイルスがすっかり世界を変えてしまって、一人で暮らす母に会いに行くことさえひたすら頭を悩ませる。

今もまだ、ウイルスは完全におとなしくなってはいない。
リスクはゼロではないが、今回を逃すとまたしばらく機会がないのだもの。

父もすでに亡くしているし、お世話になった方の訃報も聞くようになってきて、いやでも考えざるを得なくなってきた。

一体、あと何回、母に会えるのだろうかと。

実家にいる間は窮屈な思いもしたし、反発もした。
仲のいい親子だったとは思っていない。
それでも、たまには母の元気な顔を見に行きたい。

あと何回会う機会があるのだろう。
病気が分かってから父が逝ってしまうまでは、あっという間だった。
後悔したが、もう遅い。

遅くならないうちに、まだ時間と元気があるうちに。

母に会ってこよう。
大きくなった子どもたちの食欲に、母はきっとびっくりするだろう。
普段静かに暮らしているのに全くあんたたちはやかましいね、と文句の一つも言われるかもしれない。
それでも。
少しでも、笑ってくれたらいいな。

もうすぐ帰るね。

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