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YouTubeドラマ『ある日のバスのひと場面。』を観て、著作権のことを思い出した話


島崎利一監督の、二作目のドラマ

 数年前から、Youtubeドラマに親しみがあります。
 きっかけは、映像作家の島崎利一さんの作品です。

 島崎利一さんは、鉄道系Youtuber・西園寺さんの動画編集を行ったことでも知られています。
 2023年3月、ドラマ『はつ旅シャッター』で、高校生にして映像作家デビューを果たしました。
 そして2024年4月、彼は第二作目となるドラマ『ある日のバスのひと場面。』を完成させました。

バスで起こる出来事を描く『ある日のバスのひと場面。』

 本作は、6つの短い話からなるドラマです。
 タイトル通り、路線バスの車内が舞台となっています。

 登場するエピソードは、思春期のあるあるをコミカルに描いたもの、乗客同士の関係性が謎なもの、乗客の続きの行動が気になるものなどです。
 メインはバスの車内ですが、走行するバスを外から撮ったカットが、日常らしさを演出しています。

 「こういう出来事、私もあったなぁ」と共感できるエピソードもあれば、「一体この人は何を考えているんだろう」と想像が膨らむエピソードもあります。
 老若男女問わず、気軽に観て楽しめるドラマではないでしょうか。

映画の著作権の帰属は、とても複雑

 ドラマは著作権法で言うと、「映画の著作物」に当たります。
 他の著作物と異なり、著作権が誰にあるかを決めるのが複雑です。
 映画の著作物は多くの人が関わって作られることが多いため、著作権の帰属が複雑になります。

撮影機材のイメージ

 映画の著作物の著作権は、原則として「映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」に帰属します。
 具体的には、監督、プロデューサー、演出家を指します。
 脚本家や原作の小説家、音楽担当は、該当しません。

 しかし、例外が大きく分けて2つあり、それらに該当するかを考える必要があります。
 ひとつは、「職務著作」に当たるか否かです。
 法人が「こういう作品(映画の著作物)を作りなさい」と、そこで働く人に命令して業務上作成させ、完成した作品を法人名義で公表する場合は、契約に別段の定めがない限り「職務著作」に該当します。
 この場合は、著作権が法人に帰属します。

 もうひとつは、「著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束している」か否かです。
 制作に参加する約束がある場合は、著作権が映画製作者に帰属します。
 映画制作者とは、「映画の著作物の製作に発意と責任を有する者」をいい、具体的には映画製作会社を指します。

動画のイメージ

 分類してみても、複雑ですね。

まとめ

 島崎利一監督は今後、バラエティにも挑戦するとのことです。
 ドラマ制作を経験してからのバラエティは、どんな作品になるのでしょうか。
 まだ20歳を迎えたばかりの映像作家に、目が離せません。

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