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「明日こそ示せ!!  かっきりと!」他( 第16号・2002年7月19日発行)

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---◇ 山口“悟風”智・作「おかあさんへの手紙」◇--------------
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------------------------------ 第16号・2002年 7月19日発行 ----
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☆今週は、6年生トラック
1982年度・富良野市立鳥沼小学校6年学年通信「つながり」より
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★明日(あす)こそ示(しめ)せ!!
         かっきりと!
         —小学校最後の大運動会—
            —57・6・12—

 君にとって! あなたにとって!
 明日は、大切な一日。

 全力を出しきる一日なんて
 一年に何回あるだろう!

 六年前
 小さくて かわいくて
 弱(よわ)くて、泣き虫で・・・・・・「ひよっこ」だった

 そんな「きみ」達の
 明日こそ、本番!! 出番!!
 主役(しゅやく)だ!
 スターだ!
 機関車だ! 船長だ! 機長だ! 社長だ!
 そして 校長だ!

  積(つ)み上げてきたものを
  全部(ぜんぶ) 出し切(き)ろう!!

  —そりゃ—
   つらいサ こわいサ いそがしいサ そして
   きっと 暑(あつ)いサ!
   だけど でも しかし

 「きみ」達が やらないで 誰(だれ)がやる?

                     T・O

(1982年6月11日)

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★いい親、幸せな親

 おいそがしいのに、半強制的に感想を要求したりして・・・・・・。
 ありがとうございました。
 いつもの読みづらい乱筆(らんぴつ)ですがプリントしてみました。“つながり”の一ページにお加え下さい。

 ところで、私は、自分の「むすこ」や「むすめ」の運動会を一度も ゆっくり みてやったことがないのです。(「学芸会」も「参観日」さえも)

 なんと悲しい運命ではありましょうか。“紺屋(こうや)の白袴(しろばかま)”とか、“医者の不養生(ふようじょう)”とか、“床屋(とこや)は自分の頭が散髪できない”とか、いいます。

 その道のプロでありながら、—おかあさん達には、“参観日ぐらい来てやって下さい”などといつも言っていながら、—自分では、よい父、よい親になってやれない 「つらさ」!

 おわかり? おかあさん達の作文を読みながら、親としては、私よりずっといい親であり 幸福な親なんだなと、羨(うらやま)しくなったりするのです。

(1982年6月22日)

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★雨がほしい

 “金もいらない。○もいらぬ。私しゃ もうすこし「雨」ほしい!”の毎日ですね。

 プールのシートが新しくなりました。今日から入水。今すぐにも飛び込みたいけど—。いや、この水をあなたの畑に注ぎこんであげたい!! 水泳の学習がはじまります。水着、ぼうし、タオル、そして健康管理!

  お母さん、「よろしく」ね!!

(1982年7月5日)

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★参観日に来て

 “雨”が降りました!! <「もう少し」なんて言わない!!>
     降ったのだから・・・・・・

 六年生の一学期も あと一週間!! 夏休み真近。
 通知票の中味が改善(かいぜん)されました。△のところ 夏休み中にばん回を図(はか)るよう!
      <小学五・六年の力は そのまヽ中学生になってもほとんど変わりません!! 「今のうち」「今」が「大切」!>

 「21日」“水”「参観日」 「空が晴れていても」集まること!!
      家庭科学習 “ごはんとみそ汁”
      —ごはんとみそ汁はお子さんが食べます。—
      —お母さん達には給食を試食してもらいます。—
            —腹をすかせてくること—

 校外分団行事、学級キャンプの相談もあります。
 個別に学習のようすをお知らせします。

(1982年7月16日)

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★最後の夏休み

 「参観日」ごくろうさまでした。
 ・通知票の内容が改善されたこと
 ・学力テストの結果についてお話ししました。
  △のところ しっかり復習をさせてくださいね
  ◎と○の子は、それぞれ
  ○と△のつもりで○のところをしっかりと!

 「最後」の「夏休み」です。
  小学生のうちでなければ できないこともある筈です。
  いそがしい仕事の合間を上手に利用して
  楽しい 想い出が いっぱいの夏休みにして
  あげてくださいね。この子達にとって
    もう二度とかえらぬ一日一日なのですから—。

(1982年7月24日)

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☆来週は、山口“悟風”智の7月の俳句などを掲載します。

☆このメールマガジン版では、明らかな間違い以外は、筆者・山口“悟風”智が書いたまま載せています。

山口“悟風”智のプロフィールは、
http://plaza.rakuten.co.jp/gofu63/profile/
をご覧下さい。
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 ◆編集後記「千鳥足」◆

 今週は、1982年6、7月掲載分を一気に載せたために、計5編もお送りすることになりました。普段より長いメルマガになり、読みにくかったかもしれません。

 たくさん載せなければ、後がつかえているのです。悟風は、この年の夏以降、よく書いています。それまでに比べ、1編の長さは短くなっていることが多いのですが、掲載回数が増えています。例えば8月。北海道の小中学校で、夏休みが終わるのは8月20日ごろです。夏休み後の「8月」は10日ほどしかないのに、計4編のコラムなどを書いています。というわけで、取り置きできないので、今回は長くなってしまいました。(おそらく、4週間後の第20号も、きっと長くなります。)


 さて、今回の作品について。

 最初は、詩人・大津哲太郎(T・O)作品「★明日こそ示せ!! かっきりと!」でした。この中では、「つらいサ こわいサ いそがしいサ そして きっと 暑いサ!」の中の「こわいサ」が分からなかったかもしれません。これは、「疲れるサ」という意味です。北海道方言では、「恐ろしい」の意味では通常「おっかない」という言葉を使います。もちろん、「こわい」でも通じます。

 方言とは、非常に面白いものです。ただ、ここであれこれと書き出すと、「おかあさんへの手紙」から離れてしまうので、興味を持った方のために、一つだけ、本を紹介させてください。松本修著「全国アホ・バカ分布考—はるかなる言葉の旅路」(新潮文庫、781円、ISBN4-10-144121-9)。これは、絶品です。


 「★いい親、幸せな親」には、本来は、おかあさんたちの感想集がついています。かなり膨大だったので、掲載はあきらめました。ただ、おかあさんたちの感想がなくても、悟風の言いたかったことは伝わると考えました。

 コラムの中で、父は、

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 ところで、私は、自分の「むすこ」や「むすめ」の運動会を一度もゆっくりみてやったことがないのです。(「学芸会」も「参観日」さえも)」
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と、書いてあります。私は小学1年から6年まで、妹も小学1年から4年まで、父の勤務先の児童でした。「父親参観日」でも、父は授業中ですから、我が教室に来ることはないですし、運動会やマラソン大会は、保健体育が専門である父は、常に「大会役員」でした。私や妹の出番を見られなくても、当然だったのでしょう。

 自分の職場に子どもがいるというのは、父にとっても、いろいろとたいへんなことだったのではないか、と想像しています。

 特に大変だったと思うのは、私が6年生の2、3学期。この8カ月間は、担任が父でした。全校児童12人で、教職員は、校長先生と、父、教員4年目の若い先生の計3人だけ。1学期の終わりにはもう一人、30歳代の先生がいて、6年生の担任をしていたのですが、児童数の増減に伴う教育委員会の規則で、8月1日付けで転勤してしまったのです。

 そのため、1学期には、6年生、4・5年生、3年生以下の3クラスだったのが、2学期からは、高学年(5、6年生)と低学年(4年生以下)の2クラスだけになり、もともと4・5年生担任だった父が、5・6年生の担任になったのです。妹が3年生でしたから、先生が2人で、2クラス——私か妹のどちらかの担任をせざるをえない状況だったのです。


 「★参観日に来て」と「★最後の夏休み」に書いてある通知票。皆さんの小学時代は、どのような通知票だったでしょうか。時代によっても、地域によっても、学校によっても、評価の仕方が違うと思います。

 私の場合、小学時代は、鳥沼小学校と同じように「◎、○、△」や「A、B、C」の3段階評価でした。ただ、学校内では、5段階評価の記録も残してあったそうです。

 ちなみに、中学時代は5段階相対評価(学年や学級で、その生徒が相対的にどの位置にいるかを見る評価方法)、高校時代は5段階絶対評価(学習指導要領が示す目標に照らして、目標の到達度を数値化する評価方法)でした。

 日本の小中学校では、今年度から新しい学習指導要領が導入されたため、指導要録や通知表の評定は、従来の相対評価から、絶対評価に変わりました。それに伴い、来年度の高校入試でも、全国的に調査書(内申書)の学力評価方式を、相対評価から絶対評価に改める都道府県がかなりあるようです。

 評価方法に関しては、どちらにも長所、短所があります。どちらがいいとも悪いとも言い難いと思います。また、世の中には、数字に出来ない評価もたくさん存在します。「教育」とは、「教え、教えられ、育み、育まれ」ということだと思います。数字は、お互いのコミュニケーション方法の一つではあるでしょうが、万能ではありません。

 今回の通知票についての父のコラムを読み、自分で現在の通知票(調査票、内申書)についてのニュースを調べてみて、学年・学級通信が果たしてきた役割は非常に大きいということを、改めて感じました。保護者と教員とのコミュニケーションを、かなりの部分で補っていたのではないでしょうか。

 私が今、教員なら、やはり、児童や保護者を対象とするメールマガジンを作ったかもしれません。双方向性を考えると、回覧板的な存在のメーリングリストでしょうか。


 なお、新学習指導要領については、文部科学省のサイトの中で、「新しい学習指導要領のねらいの実現に向けて」というページ
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/010801.htm)があります。興味があれば、ご覧になってはいかがでしょうか。

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 ところで、先週、お知らせしましたように、近日中にスタートする「まぐまぐ」発行分の「おかあさんへの手紙」(これからは、こちらを「特別号」と呼びます)の読者登録を、先週末、代行させていただきました。honya.co.jpの「おかあさんへの手紙」(こちらは今後、「通常号」と呼びます)の読者は70人ほどなのですが、特別号の読者は現時点で100人ほどになっています。特別号のみの読者には、創刊の際、通常号も読んでもらえるように、お願いしようと思っています。通常号と特別号の内容は、もちろん別にします。

(発行者・山口一朗)

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■発行者: 「悟風の書斎」管理人・山口一朗
        yamaguchi_gofu@yahoo.co.jp
「悟風の書斎」http://www.asahi-net.or.jp/~jh2i-ymgc/gofu.html
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※トップの画像は、「鳥沼公園」(c)Tomo.Yun
鳥沼小学校に近い公園で、この写真は「ゆんフリー写真素材集http://www.yunphoto.net よりご提供いただきました。ありがとうございました。

■「おことわり」

 原典では、松本修著「全国アホ・バカ分布考—はるかなる言葉の旅路」のISBNは、ISBN10のみ載せています。ISBN13では、978-4101441214です。また、文部科学省の「新しい学習指導要領のねらいの実現に向けて」というページは、原典のURLがリンク切れになっているものの、同じページ名で、こちらに載っています。22年前をは違う内容かもしれませんが、ご参考でリンクを張っておきます。(編集者・悟風のムスコ)


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