『理科系の読書術』の紹介文

『理科系の読書術』という本がある。ぼくが読書習慣を身につけるきっかけとなった本のひとつだ。今回はこの本の紹介文を書いていこうと思う。

この本で想定されている読者は、読書の初心者だ。読書に苦手意識をもっている人のハードルをいかに下げるか。このような問題意識から、読書に気軽にとりくむための具体的な方法が、たくさん述べられている。

この本のおもしろいところは、読書という概念の幅を広げようとしているところだ。たとえば、かならずしも本を開かなくても、表紙や帯を読むだけでも、それは読書であると考える。たしかにそういう考え方をすれば、読書に対する心のハードルは下がる。本を最初から最後まで読み通すことだけが、読書ではない。

著者は京大教授で地球科学者の鎌田浩毅先生だ。鎌田先生は、いかに楽して効率よく、仕事や読書を進めることができるかということを、徹底的に考えている。研究者としての経験にもとづいた読書論であり、非常に合理的だ。

ぼくが最初にこの本を手にとったのは、自分自身、読書に対する苦手意識があったからだ。幼い頃から本をよく読んできて、読書に慣れている人がうらやましかった。読書の方法さえよくわからなかったので、何冊か読書論を読んでいるうち、この本にたどり着いた。似たような本の中でも、本書の初心者に対する優しさは、群を抜いていると感じた。

この本を読んだことがきっかけとなり、今では本を読まない日はないと言えるほど、読書の習慣をもつことができている。はじめは一冊の本を読み通すことすら難しかった。長い文章が苦手で、読んでいるうちに眠くなっていた。そんなかつての僕も、本書の方法論を実践しつづけたことによって、読書を好きになることができた。

読書に興味があるけど、いざやってみると挫折してしまう。そんな人に本書はオススメだ。読書をする意義が理解できて、読書にラクに取り組める方法、読書をどうやってアウトプットにつなげるかまで学べる。

本書の最後の「補章」もおもしろい。著者の専門分野である地震などを例に、物や知識をためこむ「ストック型」の生き方から、物や知識の循環を重視する「フロー型」の生き方への転換を説く。

「本は最初から読まなくてもいい。途中から読み始めてもいい」という本書の方法にのっとって、補章から読むのもアリだと思う。



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