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続・脳科学の未来(7)コネクトミクス

さて、このようなコネクトームを調べる方法論や解決戦略が、コネクトミクス(Connectomics)です。ゲノム(Genome)に対応して、その研究手法がゲノミクス(Genomics)と呼ばれるのと同様、いわゆる-omics(オミックス)のひとつでです。ではどんな方法があるのでしょうか。

神経回路の研究で使われた最も古い方法は、カハールが用いたゴルジと銀染色です。ゴルジ染色では、偶然染まったひとつひとつのニューロンの形を光学顕微鏡でその微細な突起にいたるまで観察することができます。

20世紀後半になると、ニューロンのつながり方は、トレーサーと呼ばれる様々な物質を使って研究されるようになりました。例えば、目にアミノ酸の前駆体となるラジオアイソトープを注入すると、そのアミノ酸は目にあるニューロンに取り込まれ、蛋白質が合成されます。その蛋白質は、視神経を脳まで伸ばしているニューロンの末端まで運搬されますので、その様子を詳しく見れば、接続している場所がわかるということです。細胞膜に取り込まれて、膜上を拡散する脂質親和性の物質DiIなどは、今でも神経解剖学で日常的に使われています。


また、大雑把に神経の走行性やつながりを推定する方法では、拡散テンソルイメージングなどの技術も使われるようになりました。この方法は、生きたまま神経回路を検出できるため、ヒトコネクトームプロジェクトの方法として利用されています
が、詳しくは後に説明します。

次回は電顕を使った方法について、説明します。

(一週間に一度のペースで更新しています)

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