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首輪

自転車で帰る途中、犬に会った。

僕が横断歩道を渡った隣で、車道を斜めに横切り僕と同じ進行方向に。僕は犬の右斜め後ろから接近。18時過ぎの暗がりと車の騒音のせいか、犬は気付かない。柴犬?ちょっと小さいシベリアンハスキー?柴犬とシベリアンハスキーは全然違うよな。暗がりのせいではない、僕がただ犬を知らないだけだ。

犬は僕に気付かない。犬や猫の類いは耳がいいと思っていたが。自転車のライトの調子が悪い。僕のライトが照らす先に犬は歩いている。本来なら僕のライトが点いていたら犬は気付いている。ライトが点いていないせいだ。

ライトの調子が戻るより先に僕が犬に最接近。自転車の前輪と犬とが目と鼻の先になった瞬間、「うおっ!」

犬だから犬の吠え声なんだろうけど、まじでビビった犬は多分「うおっ!」って言った。言うや否や脚の爪音をガリガリ立て、クイック決めて急転回し僕と反対方向へ走り去った。


首輪がなかった。耳が悪かったんだろう。