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2019年3月の記事一覧

雛さまの船に乗る

 昼時の八階ラウンジは食堂になる。  十二時、さりげなく、ひたすらさりげなく斥候が静かに席をたつ。わたしも焦る心を悟られないようにエレベーター前を通過し、非常階段で三階から八階へ。これは自分に課した運動ノルマだ。  いつものメンバー&なぜか係長の五人で窓際の席を確保した。とはいうものの、隣のビルの窓はブラインドが降りているし、亀のように首を伸ばさないと空は見えないしで眺めは悪い。けれど今日はいい天気だなとか、曇ってるんだとか、雨が降ってるねとか、外の様子を感じるだけでもほっと