リトルシスター/レイモンドチャンドラー

リトルシスター(The little sister)

レイモンド・チャンドラー著

村上春樹訳

行方不明の兄を探すよう頼まれた探偵フィリップ・マーロウはたった20ドルでその依頼を受ける。が、行方を探す中でアイスピックで殺された死体を見つける。



訳者があとがきに書いてるようにプロットに無理があるように感じた。結局、誰が誰をなぜ殺したのかよくわからなかった。今まで読んだチャンドラーの中で読み進めるのが一番大変だった。チャンドラーの小説には、建物とか人物の服装とか細かい描写が多く出てくるけれど、その描写を頭の中で映像としてイメージすることが難しい。それは自分自身の知識不足が原因だし、言葉の意味を一つ一つ調べればいいのだろうけど、知らない言葉が出てくる度にそれをネットで調べる気にはなれない。

ただ、主人公がその人物や建物から受けた印象を言葉にしているところを読むのはいつも面白い。


・気に入ったチャンドラー節

『(オーファメイは)それからもう一度こちらをさっと振り向き、また勢いよく戻ってくると、唐突に泣き出した。それに対する私の反応は、剥製の魚が釣り餌に向かってみせる程度のものだった。』(p21)


ラガーディー(医師)の受付でオリン・クエストについて冗談を言ったマーロウに対して、受付の女が

『彼女はまるで、溺れかけた人魚を小脇に抱えて海底から浮かび上がってきた人間でも見るみたいな目で私を見た。』(p241)


警察署で男からカードゲームよりもチェスの方が好きだと言われて

『こちらとしては熱くて苦いブラックコーヒーの方が好みだけどね。罪深いほど苦いやつが』(p378)


自分のオフィスに戻って貯蔵箱から新しいタバコの葉を取り出して

『その貯蔵箱は私を崇拝するある人物から、クリスマスプレゼントとしてもらったものだ。その人は極めて稀な偶然だが、私と同姓同名だった。』(p417)





※ネタバレ

オーファメイ(妹)がマーロウに兄(オリン)探しを依頼する

→オリン(兄)が住んでいたアパートでレスター・クローゼン(管理人)の死体が見つかる(オリンが殺した?)。ジョージ・ヒックス(カツラの男)と出会う。

→ヒックスから何かを預かる依頼を受けるが、ホテルで死んでいて(オリンが殺した?)、メイヴィス・ウェルド(姉)に襲われる。ヒックスのカツラから写真を見つける(メイヴィスとスティールグレイヴが写ってる写真ーオリンが撮影したもの)

→オリン(兄)は写真をネタにメイヴィス(姉)から金を取ろうとしていた

オリンとヒックス使って、スティールグレイヴから金を取ろうとしていたのは実はラガーディー医師?(オリンを匿っていた)

オーファメイが金と引き換えに兄(オリン)の居場所をスティールグレイヴに教える

ドロレス・ゴンザレス(エロい女優)がオリンを殺害?なぜ?

オーファメイ(妹)がスティールグレイヴ(ギャングスター)を殺し?、メイヴィス(姉)が身代わりになる

ドロレス・ゴンザレス(エロい女優)は元夫のラガーディーに殺される。なぜ?


プロットを整理しようとしても意味がわからない。





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