推奨香木『仮銘 散らぬ花』と『仮銘 白雲(しらくも)』

準備に手間取りご迷惑をお掛けしましたが、『仮銘 散らぬ花』の第一弾は、ようやく発送の手配を終えてお手許に届いた頃かと拝察します。

散らぬ花①DSCN1540

既にお炷き戴いた方々からご感想など頂戴できれば有り難く存じますが、以前の投稿で触れましたように、小さな粒状の欠片から「これが奇気か?」と思わせる「杏仁(あんにん)」のような香気が感じられたり、「これが伽羅立ちの蛮というものか?」と納得されたり、とにかく「いわゆる蛮らしさ」とは程遠い立ち方をする珍しい真南蛮であるところに、『仮銘 散らぬ花』の最大の特徴があると認識しています。
(繊細な香気を捉えていただくためには、火加減を遠くして極く低温で加熱する必要がありますし、香炭団・香炉灰・銀葉などから余計な匂いが出ないように留意して戴かねばなりません)
顔を見ると一目で「典型的なタイ産の沈香」と判断でき、木所に当てはめるとすれば「間違いなく真南蛮!」と断言できるのですが、その香気は「艶やか」という表現が適切と思えるほどに優しく柔和で華やいだ甘さを安定して放ち、火末に至るまで微かにしか真南蛮らしさを主張しないのです。
近年に増えてしまっている「インドネシア産沈香で間に合わせる真南蛮」とは、明らかに一線を画する存在と言えます。
そのため「これでは一炷聞には適するけれど組香には使えない!」とお叱りを受けることになりかねません。
そこで、以前から推奨香木として採り上げている『仮銘 白雲』を改めて推奨させていただきます。
香木整理の際に、何年間か行方不明になっていた塊が発見できたのです。

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もともと総重量が2.5㎏を超える大きな塊で、当初は約半分に挽いて少しずつ截香・分木して参りましたが、大きいだけに癖がある箇所も多く、良いとこどりを続けた挙句、最初の半分が徐々に心許なくなっていたのでした。

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この『仮銘 白雲』も典型的なタイ産沈香の顔をしており、上の写真の右半分と左半分とでは樹脂分の密度が異なりますが、匂いの筋は共通しています。
改めて推奨する理由は、「安定して ‟蛮らしさ” を出し続ける典型的な真南蛮」でありながら「蛮にありがちな特有の嫌な癖を感じさせず」、従って「組香に最適」、その上「まだ大量に残っているので惜しみなく?販売可能」というところにあります。
仮銘の証歌は以下の通りですが、この香木の特徴を良く表していると自負しています。
「白雲は 立隔つれど 紅の 薄花櫻 心にぞ染む」
                 (京極前太政大臣)(詞花和歌集)




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