初春のご挨拶

お内裏様の貝合わせ雛(児玉もえみ作)

暮れには、永い間会えていなかった学生時代のサークルの後輩が急逝していたとの報せを受け、愕然としました。
ひたすらに柔和で心根の優しい好人物でしたが、何よりも、自分より数歳も若い身近な親しい存在が先に此の世から居なくなることの衝撃はことのほか大きく、受け入れ難く感じていました。

そんな折、今度は新年早々に能登半島を大地震が襲い、甚大な被害をもたらしています。
未だに詳細が判明していない状況ですが、親しくお付き合いさせて戴いている輪島市河井町の老舗塗師屋さんは工房が全壊したとのこと、伝統工芸を守り・広め・継承していくお立場ゆえ今後の行く末が心配されますが、幸いにしてご家族は全員ご無事だったようで、希望は潰えていないと信じています。
数年前の大地震では零細な家内工業的な職人さん達が立ち直ることが出来ずに多数が廃業されるなど、産地として甚大な影響を受けたのですが、今回の災害が当時を上回ることは間違いないと思われます。
それでもなお、輪島塗には何とか復興を遂げて戴きたいと願っており、出来ることがあれば、微力を尽くしたいと考え、現在は塗師屋さんからの報告・連絡を心待ちにしているところです。

そのような鬱々とした状況ではありますが、一方では新型コロナワクチンは6回目を接種し、インフルエンザの予防接種も済ませて、今を前向きに充実させるべく体勢を調えつつあります。

40周年記念の年とは言えかなり破天荒な感謝企画に終始した昨年とは打って変わって今年は地味に行こうと考えておりますが、自信を持って推奨できる最上質の香木を一人でも多くの愛好家の皆さまと共有できます様、分木を企画して参りたいと願っていますので、ご高誼に与かります様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

**********************************なお上の写真は、弊社の包装紙に使わせて戴いている源氏絵を描き下ろしてくださった京都の母の幼馴染「冨家保江」さんのお嬢様「児玉もえみ」さんの作品です。
お客様からご友人のお孫さんの誕生祝いに「雛飾り」のリクエストを頂戴し、蛤の貝合せ+貝桶で表現して戴いたものです。
男雛(京都式で右側)には天智天皇、女雛には持統天皇が、そして、お内裏様が遊ぶための小さな蛤の貝合せには十二支が描かれています。
また桐製の貝桶には、一段目に男雛、二段目には女雛を納めます。
結びは蜻蛉結びと叶結び。
蓋には、中央に松+藤の花と遠景に須弥山及び周囲を取り巻く鶴と亀。
側面には三人官女・右近・左近・五人囃子が配されています。
児玉さんによりますと「時間は掛かるけれどまた作れます」とのことです。お問い合わせは山田(090-4941-3000)まで、お気軽にどうぞ。

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