マガジンのカバー画像

山田古形の小説

27
山田古形が書いた小説の一覧です。楽しいヘンテコ話がたくさんあります。
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

【小説】幻滅してほしい先輩

「どう、尼崎さん。幻滅した?」  開始早々大崩壊したジェンガの末路を片づけながら、船戸先輩が期待のこもった調子で私に尋ねた。  崩してしまったのは私だけど、堂々の勝負の結果とはちょっと言いがたい。私がブロックに指を伸ばした時、テーブルの向かい側に座る先輩が突然、全く似てないアルパカのモノマネを披露してきて指運びが乱れてしまった。 「小ずるい勝ち方した上に、モノマネのデキもしょうもない。いい塩梅の醜態だと思うんだけど、どうかな、幻滅してくれた?」 「ええと……しました」  散ら