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私が中学生だった頃、「音速ローブ」という怪談が周囲で流行ったことがあった。 早朝ジョギングをしていると、フード付きのローブを身にまとい、肩に青白いタオルを掛けた人影が、いつの間にか後ろを走っている。フードの下の顔は陰影に覆われて見えず、呼吸や衣擦れ、地面を踏む音も聞こえず、いかにも奇妙な様相だという。 人影はぴたりと貼りつくようについてくる。ペースを速めても振り切ることはできず、緩めても追い越されはしない。そうしてしばらくついてきた後、突然人影は甲高い金切り声を上げ、タ