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クイズプレイヤーに有名大学出身者が多い理由

クイズの道は全員に開かれているが、それを楽しめる人は限られている。

ここ半年間、クイズバースアールに通って体感したことだ。

QuizKnockなどの活躍、あるいは『みんなで早押しクイズ』などのクイズアプリの広まりにより、クイズがより多くの人に楽しまれるようになった。

しかしながら、この競技を純粋な意味で楽しめる人は、案外少ないのでは無いかと思う。

具体的には、クイズを楽しめるのは『勉強がある程度出来る人』なのではないかと思う。

もちろん、クイズには勉強系のクイズだけでなく、芸能やスポーツ・アニメ、ゲームのクイズも多い。あるいは、日常生活に関する問題も多い。だから勉強ができなくても本来は何の支障もないはずだ。

しかし現実として、クイズは勉強が出来る人の娯楽と化している。

例えば、僕の行きつけのクイズバースアール大阪店では、京大の学生さんが非常に多い。京大に2回落ちて私立に行った身としては非常に肩身が狭い。

その他、QuizKnockのメンバーに東大出身者が多いのはご存じだろうが、それ以前のクイズプレイヤーも、例えば能勢一幸(一橋大経済学部卒)古川洋平(立命館大文学部卒)や徳久倫康(早稲田大文化構想学部卒)など、関東・関西の有名大学出身者が多い。

なぜ、クイズは名門大学出身者がプレイするのか、考えていく。


クイズは知識の詰め込みだけではない

『変なクイズ』でもボタンを押すのはクイズ上級者

推理作家で工学博士の森博嗣も、著書『勉強の価値』の中で、「(記憶したものをそのままアウトプットするだけで問題が解決する例は)試験問題か、あるいはクイズくらいだろうか。」と書いている。

多くの人も同じように、知識量、とりわけクイズに特化した知識の量がクイズの強さと相関すると考えているかもしれない。そして、それは事実だ。

しかし、それだけではない。知識が多ければクイズが得意になるというわけではない。

「みんなで早押しクイズ」という、早押しクイズができるアプリがある。このアプリでは自由に作問もでき、僕も『変なクイズ』を日々作っている。変なクイズとは具体的に以下のようなものだ。

代表曲に『モナ~らぶ』や『アメニモマケテ』『89337564!』があるフランスの歌手で、現在は趣味である論破で生計を立てていることでも知られる、その他の業績に、匿名掲示板『2ちゃんねる』の開発でも知られる人物は誰でしょうか?(答 ひろゆき)

熱狂的なひろゆきのファンでなければ、(クイズにおいて)序盤でボタンを押すのは難しい。「趣味である論破」あたりで押す人が出てくる。そして、こういう問題でも1番速く押すのは、Sランク以上、すなわちクイズ上級者であることが多い。

ひろゆきが歌手であったことはあまり知られていないし、逆に「論破=ひろゆき」の図式は多くの人が知っている。すなわち、この問題を解くにあたり、クイズ上級者と初心者の間で知識の差はほとんどない。

にもかかわらず、クイズ上級者がこういう『おかしな』問題もかっさらう。問題の途中まで聞いて、その後どういう流れになるのかを推測する能力が必要となるのだろう。「一を聞いて十を知る」能力といえるかもしれない。

クイズの得意不得意は、知識量だけで決まるわけではない。

おバカタレントは何がおバカなのか

もう一つ、もっと基礎的な能力が重要ではないかとも思う。

それが日本語力だ。

具体的には、日本語の読解力だ。

なぜそう思ったか、以下説明する。

とあるクイズチャンネル(以下Cと書く)で、『非クイズプレイヤーによる珍回答』の動画を見た。
とあるアイドルグループ(以下Bと書く)が、自身のYouTubeチャンネルでクイズ大会を開催していており、そこで出た珍回答をCが紹介するという旨の動画だ(なお、このクイズ大会はCのメンバーが主催している)。

ここで出た、とあるアイドル(M)の誤答が大変驚かれるべきものだった。

問題は以下の通り(やや改変している)

「温泉などにある、高いところから滝のように出したお湯をあびる仕組みのことをなんと言うでしょう?」

答は『打たせ湯』だ。そして、Mはなんと答えたか。

「たかおさん(高尾山)」だ。温泉にある仕組みを問うているのに、山の名前を答えている。

これには背景がある。Mは日本一高い山を高尾山だと誤認しており、そして、この問題文中にある「高い」という単語に反応して高尾山と答えたのだという。

Mは文脈というものを考えず、「高い」と出たら「高尾山」と答えるゲームをしているのだ。

Mによるこの性質は、クイズ番組でおバカタレントと言われるタレントがよくやる間違いと共通する。文章全体を把握せずに特定の単語に反応して間違いを言ってしまう。

ここまで極端でなくても、日本語読解能力が問題文の先読みで役に立つことがある。

特に、助詞の効用だ。特定の名詞のあとに来る助詞が「で」か「を」か「の」かで答は変わってくるし、逆にその助詞さえ聞ければ答えの選択肢は大幅に狭まる。

この観点からすると、日本語読解の能力はクイズの得意不得意と大きく関係しているのだと思う。

実は難しいクイズのルール

また、これも読解力と関連しているのだけれど、ルールを読み取り守る能力というのも、クイズのプレイにおいて必要となってくる。

例えば、早稲田式早押し機というタイプの早押しボタンでは、最初に押した人のボタンが点滅し、2番目に押した人のボタンが点灯するという仕組みになっている。この仕組みにより、エンドレスチャンスという、1つの問題に対して複数人が答えられる形式のクイズを楽しめる。

で、この『点滅』と『点灯』を初心者は間違いやすい。何を隠そう、僕も時々やってしまう。

その他にも、例えばそれまで会話を楽しんでいても、出題者が「問題!」と言えばプレイヤーは静かにして問題を聞かなければならないなどのルールがある。クイズの性質上、絶対守ってもらわないと困るルールだ。

こういったルールのひとつひとつは難しくないものの、複数となると違反しやすい。

これは慣れも関係してくるが、やはりルールをちゃんと理解し、それを脳内に保持しておく能力が必要だ。大げさにいえば、記憶力が関係している。

こういった点を考えると、どうもクイズが強い人というのは、たんなる知識の詰め込みではなく、文章を正しく読解し、記憶し、その先を推測する能力が高いとかんがえられる。そして、これらの能力はいわゆる『学力』と大きく関係している。

となると、学力の高い人がクイズに強くなり、そして楽しめる確率が高くなるのではないかと邪推している。




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